
汝、星のごとく
(★4.6)
(Kindle¥1,705 / 楽天¥1,760 / オーディブル聴き放題)
凪良ゆうさんの恋愛小説『汝、星のごとく』の書評です。
主人公の暁海(あきみ)は、しまなみ海道の風光明媚な島に住む女子高生 そこで転校生の櫂(かい)と出会い、お互い惹かれあう、、、
目次|Contents
『汝、星のごとく』について
『汝、星のごとく』は、2022年8月に講談社から発行された凪良ゆうさんの恋愛小説。
第20回本屋大賞。第10回高校生直木賞を受賞。続編となる『星を編む』とあわせてシリーズ累計70万部突破。
『汝、星のごとく』登場人物
井上暁海(いのうえあきみ):瀬戸内の小さな島に住む高校生 両親は別居中
青埜 櫂(あおのかい):暁海の同級生 自由奔放な母親の都合で京都から引っ越してくる
『汝、星のごとく』あらすじ

その愛は、あまりにも切ない。 正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。
本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。
ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。 風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。 ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。 生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。
ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。
Amazonより引用
凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』は、瀬戸内の島を舞台に、少年と少女の成長と愛を描いた物語です。
高校生で出会った暁海と櫂は、それぞれ複雑な家庭環境を抱えながらも、互いに惹かれ合い、心の拠り所として成長していきます。
しかし、人生は二人に優しくはなく、進む道が異なる中で、それでもなお心に残り続ける存在となる——
そんな切なくも美しい物語が展開されます。
『汝、星のごとく』レビュー・感想

第一章 潮騒
十七歳 高校生の暁海、櫂の出会い
第二章 波蝕
十九歳~二十五歳 社会人となった二人
第三章 海淵
二十六歳~三十二歳になった二人
第四章 夕凪
三十二歳 夕凪にように
「汝、星のごとく」を読んでみて
この作品の魅力は、登場人物のリアルな心理描写と、美しい筆致で描かれる風景にあります。凪良ゆうさんならではの、静かに心を揺さぶる言葉の数々が、わたしの心に深く響きました。
暁海と櫂の関係は単なる恋愛ではなく、家族や人生の選択にも関わる深い絆として描かれています。
それぞれの家庭の事情が、二人の生き方や価値観にどのように影響を与えたのかが細やかに描かれており、読んでいるうちに自分の人生とも重ね合わせて考えさせられました。
また、瀬戸内の島という舞台が、作品全体に静謐でありながらも切ない空気を漂わせています。
穏やかな海、移り変わる季節、島の閉鎖的な人間関係——そうした要素が、登場人物たちの心情を一層際立たせ、物語の魅力をより深いものにしています。
著者「凪良ゆう」さんについて
『汝、星のごとく』の著者、凪良ゆうさんは神奈川県横浜市出身の推理作家です。
2016年に第2回角川文庫キャラクター小説大賞“大賞”を受賞した『憧れの作家は人間じゃありませんでした』でデビュー。
凪良ゆうさんの作品は、独特の設定と丁寧な心理描写、そして民俗学的要素を巧みに織り交ぜた物語構成により、多くの読者から支持を得ています。
ぜひ一度、読んでみてください。
『汝、星のごとく』を読んだ最後に
『汝、星のごとく』は、単なる恋愛小説ではなく、「人生の選択」と「人との繋がり」について深く考えさせられる作品でした。
暁海と櫂がたどった道は、決して幸福とは言い切れないかもしれません。
しかし、誰しもが「こうであったかもしれない人生」に思いを馳せることがあるように、本作もまた、「もし違う道を選んでいたら?」という問いを読者に投げかけてくれます。
読み終えた後、心にじんわりと残る余韻がありました。
現実の厳しさと、それでも続いていく人生の美しさを感じられる、そんな一冊でした。

汝、星のごとく
(★4.6)
(Kindle¥1,705 / 楽天¥1,760 / オーディブル聴き放題)