『線は、僕を描く』 砥上裕將さん著|あらすじ・レビュー

『線は、僕を描く』 砥上裕將さん著|あらすじ・レビュー

線は、僕を描く

(★4.5)
(Kindle¥499 / 楽天¥858 / オーディブル聴き放題)


砥上裕將さんの小説『線は、僕を描く』の書評です。

両親を交通事故で失った大学生の青山霜介は、展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会い、水墨画のすばらしさに魅了されていく。

『線は、僕を描く』について

『線は、僕を描く』は、2019年7月に講談社から発行された砥上裕將さんの青春小説。

「2020年本屋大賞」第3位
「ブランチBOOK大賞2019」受賞、「未来屋小説大賞」第3位、「キノベス!2020」第6位

『線は、僕を描く』登場人物

青山霜介:主人公 大学生 展覧会会場で水墨画の巨匠・篠田湖山に声をかけられ、弟子となる

篠田湖山:水墨画の巨匠 霜介を強引に弟子にする

篠田千瑛:湖山の孫 女子大生 霜介と「湖山賞」をかけた勝負を宣言する

『線は、僕を描く』あらすじ

両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生の青山霜介は、アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会う。

なぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまう霜介。それに反発した湖山の孫・千瑛は、翌年の「湖山賞」をかけて霜介と勝負すると宣言する。

水墨画とは、筆先から生みだされる「線」の芸術。描くのは「命」。

はじめての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく霜介は、線を描くことで次第に恢復していく。

Amazonより引用

砥上裕將さんの『線は、僕を描く』は、水墨画の世界を舞台にした青春小説です。

主人公の青山霜介は、両親を事故で亡くし、生きる意味を見失っていました。そんな彼が偶然、水墨画の大家・篠田湖山と出会い、弟子入りすることになります。

最初は全くの素人だった霜介ですが、筆を握るうちに、線を描くことを通じて自分自身と向き合い、成長していきます。

水墨画の奥深さ、人と人とのつながり、そして「生きるとは何か」を描いた感動の物語です。

『線は、僕を描く』レビュー・感想


『線は、僕を描く』の最大の魅力は、水墨画の繊細な表現と、それが登場人物たちの心情と巧みに重ね合わされている点です。

砥上裕将さん自身が水墨画家であるため、描写が非常にリアルで、まるで自分も筆を走らせているかのような感覚に陥ります。

また、霜介の成長物語としても秀逸です。

最初は無気力だった彼が、師匠や仲間との関わりを通して変わっていく様子が丁寧に描かれています。特に、篠田湖山の厳しくも温かい指導が印象的で、彼の言葉に背筋を正されるような感覚を味わいます。

ライバルである篠田千瑛との関係性も見どころの一つ。

千瑛は天才的な才能を持ちながらも、霜介と接するうちに自身の在り方を見つめ直していきます。二人が切磋琢磨しながら成長していく姿は、まさに青春そのもの。

著者「砥上裕將」さんについて

『線は、僕を描く』の著者、砥上裕將(とがみひろまさ)さんは1984年、福岡県生まれの小説家です。

2018年に『黒白の花蕾』で「第59回メフィスト賞」を受賞、翌年6月に『線は、僕を描く』に改題して小説家デビュー。

この『線は、僕を描く』は、2022年に映画版が公開されています。

『線は、僕を描く』を読んだ最後に

『線は、僕を描く』を読み終えたとき、単なる芸術小説ではなく、人生そのものを描いた作品だと感じました。

何かに打ち込むことの尊さ、挑戦することの意味、そして人とのつながりの大切さが心に響きます。

水墨画という静かな世界を舞台にしながらも、その奥にある熱い情熱が伝わってくる一冊でした。読んだあと、思わず筆を持って何かを描きたくなる、そんな魅力を持つ作品です。

水墨画に興味がある方はもちろん、心に響く物語を求めている方にもぜひおすすめしたい一冊です。。

線は、僕を描く

(★4.5)
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