
黒い家
(★4.2)
(Kindle¥653 / 楽天¥748 / オーディブル聴き放題)
貴志祐介さんの小説『黒い家』の書評です。
「黒い家」——その扉を開けた瞬間、日常は静かに崩れ始める。現実に潜む狂気と恐怖が、あなたを追い詰める。
目次|Contents
『黒い家』について
『黒い家』は、1997年に角川書店より発表された貴志祐介さんのホラー小説
1997年「第4回日本ホラー小説大賞」を受賞
『黒い家』登場人物
若槻慎二:主人公 生命保険会社の社員 顧客からの不審な問合せをきっかけに事件に巻き込まれる
菰田幸子:物語の中心的女性 息子の死後、保険金の請求をする
菰田重徳:幸子の夫
『黒い家』あらすじ

若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。
ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。
ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに……。
恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。
第4回日本ホラー小説大賞受賞作。
Amazonより引用
貴志祐介さんの『黒い家』
生命保険会社に勤める若槻慎二は、ある日、一人の顧客から「自殺の場合、保険金は出ますか?」という電話を受ける。尋常ではない口調に違和感を覚えつつも、業務の一環として対応する若槻。
しかし、この電話をきっかけに、彼は次第に不可解な出来事に巻き込まれていく。
日常に潜む狂気と、それがもたらす戦慄を描いた本作は、心理的恐怖とサスペンスが絡み合いながら読者をじわじわと追い詰めていく。
『黒い家』レビュー・感想

貴志祐介さんの『黒い家』は、ホラー小説でありながら、単なる幽霊や怪異に頼るのではなく、人間の内に潜む「狂気」をテーマにしている点が非常に印象的です。
特に、加害者側の心理描写がリアルで、まるで現実に起こり得る出来事のような恐ろしさがある。
本作の恐怖は、単なる驚かせるような演出ではなく、じわじわと忍び寄るような心理的な恐怖にある。若槻が徐々に違和感を覚え、それが確信へと変わっていく過程が緻密に描かれており、読者もまた彼と同じ恐怖を共有することになる。
また、登場人物の描写が秀逸で、特に保険金を巡る事件の中心人物の異常性は圧倒的だ。
その人物の言動がどこかズレているものの、完全に非現実的ではないため、「もしかしたら現実にこういう人がいるのでは?」と思わせるリアルさがある。この点が、本作をより一層恐ろしく感じさせる要因となっている。
物語の展開も巧妙で、最初は単なる保険金絡みの不審な出来事が、次第に取り返しのつかない恐怖へと繋がっていく。この積み重ねによって、読者はページをめくる手を止めることができなくなる。
ホラー好きにはもちろん、サスペンスや心理スリラーが好きな人にもおすすめできる一冊です。
著者「貴志祐介」さんについて
『黒い家』の著者、貴志祐介(きしゆうすけ)さんは、1959年大阪府生まれの小説家です。
1996年『十三番目の人格 ISOLA』で「第3回日本ホラー小説大賞」佳作を受賞し、作家デビュー
1997年『黒い家』で「第4回日本ホラー小説大賞」を受賞
貴志祐介さんの作品は、心理的な深みと社会的な洞察力を兼ね備えたミステリーとして、多くの読者から支持されています。
『黒い家』を読んだ最後に
『黒い家』は、読者の心にじわじわと忍び寄るような恐怖を残す作品。
物語の展開がリアルであるがゆえに、「こういうことが本当に起こるかもしれない」と考えさせられます。
人間の心理の奥深さや、狂気に至るまでの過程が丁寧に描かれているため、ただ怖いだけでなく、読後には深い余韻が残る。
この作品を読んだ後、日常の何気ないやり取りの中にも、どこか不気味なものを感じてしまうかもしれない、、、。

黒い家
(★4.2)
(Kindle¥653 / 楽天¥748 / オーディブル聴き放題)