
黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ
(★4.4)
(オーディブル聴き放題 / Kindle¥715 / 楽天¥748)
知念実希人さんの小説『黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ』の書評です。
黒猫の姿をした死神クロが、未練を残す魂を救済。
知念実希人さんが描く、心温まる死神ミステリー第2弾!
涙と感動、そして意外な真相があなたを待っています。
目次|Contents
『黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ』について
『黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ』は、2015年7月に光文社から発行された知念実希人さんの小説。
累計55万部突破の『死神シリーズ』第2巻。
『黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ』登場人物
クロ:主人公 黒猫の姿になった死神 前作の主人公レオの同僚
白木麻矢(しらき まや):自動車事故で昏睡状態にある女性
南郷純太郎(なんごう じゅんたろう): サウス製薬の会長
小泉昭良(こいずみ あきよし):サウス製薬の営業職
小泉沙耶香(こいずみ さやか):サウス製薬の会長秘書 小泉昭良の妻
阿久津一也(あくつ かずや): サウス製薬の研究員 ある「呪い」にかかっている
峰岸誠(みねぎし まこと): 小泉夫婦や阿久津が出た大学の薬学部教授
『黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ』あらすじ

黒毛艶やかな猫として、死神クロは地上に降り立った。
町に漂う地縛霊らを救うのだ。
記憶喪失の魂、遺した妻に寄り添う夫の魂、殺人犯を追いながら死んだ刑事の魂。
クロは地縛霊となった彼らの生前の未練を解消すべく奮闘するが、数々の死の背景に、とある製薬会社が影を落としていることに気づいて――。
迷える人間たちを癒し導く、感動のハートフル・ミステリー。
Amazonより引用
「死神」シリーズの第2巻『黒猫の小夜曲(セレナーデ)』この物語の主人公は、漆黒の毛並みが美しい猫の姿で地上に降り立った死神「クロ」。
彼の使命は、この世に未練を残し、地縛霊となってしまった魂たちを救済すること。
物語は、記憶を失った魂、愛する妻を見守り続ける夫の魂、そして事件の真相を追う中で命を落とした刑事の魂など、様々な事情を抱える地縛霊たちとの出会いから始まります。
クロは、彼らが抱える未練を一つ一つ解きほぐそうと奮闘する中で、これらの死の背後に、ある製薬会社の影がちらついていることに気づきます。
個性豊かな地縛霊たちとの交流、そして徐々に明らかになる事件の真相。
ミステリー要素と心温まるドラマが織りなす、感動のハートフル・ストーリーです。
シリーズ1作目に登場した犬の姿の死神「レオ」も登場し、物語に彩りを添えます。
『黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ』レビュー・感想

第一章 桜の季節の遺言状
-雨で濡れてインクが滲んでしまった遺言状
第二章 ドッペルゲンガーの研究室
-いるはずのない場所に現れた人物
第三章 呪いのタトゥー
-呪いのタトゥーの意味するものとは
第四章 魂のペルソナ
-魂の正体と本当の目的が明らかに
『黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ』を読んでみて、まず、この作品を読んで感じたのは、死神という存在のイメージを覆す優しさと温かさです。
主人公のクロは、ぶっきらぼうな言動とは裏腹に、地縛霊たちの悲しみや苦しみに寄り添い、彼らの魂が安らかに旅立てるよう力を尽くします。その姿は、まさに「癒やしの死神」と言えるでしょう。
物語は、地縛霊たちが抱えるそれぞれの未練を軸に展開していきますが、それらがやがて一つの大きな事件へと繋がっていく構成は見事です。散りばめられた伏線が回収されていく様は、ミステリーとしても非常に読み応えがありました。
特に終盤の展開は予想を超えるもので、一気に引き込まれました。
クロが人間の女性の体を借りた魂と協力して事件の謎を追うという設定も面白く、二人の間に芽生える絆には胸が熱くなりました。
猫好きにはたまらないクロの愛らしい描写はもちろんのこと、登場人物たちの細やかな心情描写も素晴らしく、読んでいるうちに自然と感情移入してしまいます。
全体を通して、命の尊さや人との繋がりの大切さを感じさせてくれる作品です。
時に切なく、時にクスッと笑える場面もあり、読後は温かい気持ちと優しい涙に包まれました。
ミステリー好きはもちろん、心温まる物語を読みたい方にも自信をもっておすすめできる一冊です。
著者「知念実希人」さんについて
『黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ』の著者、知念実希人は1978年10月12日に沖縄県南城市で生まれた日本の小説家兼医師です。
医療ミステリーの旗手として、医師の経験を活かした作品を多く執筆しています。
2011年に『レゾン・デートル』でばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、2012年に『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューしました。
代表作には今回紹介した「天久鷹央の推理カルテ」シリーズなどがあり、『仮面病棟』『祈りのカルテ』『硝子の塔の殺人』などのヒット作を執筆しています。
また2018年から2020年にかけて、3年連続で本屋大賞にノミネートされました。
知念実希人さんの作品は、医療知識を活かしたリアルな描写と、人間味のあるドラマ性が特徴で、多くの読者から支持を得ています。
『黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ』を読んだ最後に
『黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ』は、単なるファンタジーやミステリーという枠には収まらない、人間の生と死、そして魂の救済という深遠なテーマを扱った作品だと感じました。
読み終えた後も、登場人物たちの言葉や行動が心に残り、じんわりとした感動が続きます。
この作品は、「死神」シリーズの2作目にあたります。
1作目の「優しい死神の飼い方」では犬の姿の死神レオが活躍し、本作でも彼の存在が物語に深みを与えています。
もちろん、この作品から読み始めても十分に楽しめますが、1作目を読んでいると、より一層シリーズの世界観に浸れるでしょう。
そして、3作目の「死神と天使の円舞曲」では、レオとクロがタッグを組むとのことで、こちらも期待が高まります。
知念実希人さんの作品は、医療ミステリーが多い印象でしたが、このような心温まるファンタジーもまた魅力的です。
まだ読んだことのない方は、ぜひこの機会に手に取ってみてはいかがでしょうか。きっと、あなたの心にも優しい灯をともしてくれるはずです。

黒猫の小夜曲(セレナーデ) 「死神」シリーズ
(★4.4)
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