『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』 知念実希人さん著|あらすじ・レビュー

『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』 知念実希人さん著|あらすじ・レビュー

2025年5月8日

死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ

(★4.6)
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知念実希人さんの小説『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』の書評です。

知念実希人さんが描く、心温まる死神ミステリー第3弾!

これまでの作品の主人公である2匹の死神、レオとクロが共演。彼らが共に一つの大きな事件や謎に立ち向かう。

『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』について

『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』は、2022年5月に光文社から発行された知念実希人さんの小説。

累計55万部突破の『死神シリーズ』第3巻

『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』登場人物

レオ:シリーズ第一作「優しい死神の飼い方」の主人公であるゴールデンレトリバーの姿をした死神

クロ:シリーズ第二作「黒猫の小夜曲」の主人公である黒猫の姿をした死神

平間大河(ひらま たいが):料理人を目指す美穂の幼馴染

柏木美穂(かしわぎ みほ): 穂乃花の母親

柏木穂乃花(かしわぎ ほのか):美穂の娘 聴覚に障害を持つ少女

プルート:レオとクロの同僚 カラスの姿をしている死神

『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』あらすじ

死を前にした人間を「未練」から解き放つため、天から遣わされた死神、クロとレオ。

黒猫のクロは、今まさに自殺しようとする料理人に出会う。
婚約者に拒絶され、さらにその彼女を喪い、絶望の淵に追い詰められたのだ。

一方、ゴールデンレトリバーのレオもまた、新たな「未練」を解決しようと動き出した。

「人魂」の噂が飛び交い、不審火事件が続く街で、何が起きているのか。
すべての謎が一つに繋がったとき、シリーズ最大のピンチが2匹に迫る――。

シリーズ累計55万部突破! 「死神」シリーズ、待望の第3弾。

Amazonより引用

「優しい死神の飼い方」「黒猫の小夜曲」に続く、大人気「死神」シリーズ待望の第3弾!

本作では、おなじみのゴールデンレトリバーの姿をした死神「レオ」と、黒猫の姿の死神「クロ」が、ついに本格的なタッグを組みます。

物語の舞台は、不穏な空気が漂う町。謎の人魂が目撃されたり、原因不明の連続放火事件が発生したりと、人々は不安な日々を送っていました。

そんな中、クロは婚約者に先立たれ、絶望の淵にいた青年・大河を救います。

一方、ホスピスで働くレオは、大河のかつての恋人であり、ある未練を抱えたまま最期を迎えようとしている女性・美穂に寄り添っていました。

一見別々のものに見えた二つの出来事は、やがて繋がりを見せ始め、レオとクロは町を覆う深い闇と対峙することになります。

死神としての使命、人間への想い、そして「天使」を名乗る新たな存在…。

シリーズ最大の謎と感動が待ち受ける、息もつかせぬ展開のハートフル・ミステリーです。

『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』レビュー・感想

第一章 黒猫と薔薇の折り紙

クロは、絶望の中で自殺を図ろうとする料理人・平間大河に出会う

第二章 黄金の犬と天使の声

レオは、ホスピス「丘の上病院」に入院してきた若い女性患者と出会う

第三章 死神たちのダンス

レオとクロは、意外な場所で再会 町で相次ぐ「人魂」目撃や連続放火事件の謎に迫る


『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』を読んでみて、

ついにレオとクロが本格的にタッグを組む!シリーズファンにとっては、まさに待望の展開でした。

普段はいがみ合っている二匹が、共通の目的のために協力し合う姿は、時にコミカルで、時に胸が熱くなります。

それぞれの得意分野を活かして事件の真相に迫っていく様子は、まさに最高のバディものと言えるでしょう。

これまでのシリーズ作品で描かれてきた「死神の優しさ」や「魂の救済」というテーマはそのままに、よりスケールの大きなミステリー要素が加わっています。

連続放火事件や人魂の謎、そして新たなる敵の出現と、ハラハラドキドキの展開が続き、ページをめくる手が止まりませんでした。

知念先生ならではの医学的な知識も随所に盛り込まれており、物語にリアリティと深みを与えています。

もちろん、シリーズの魅力である心温まるエピソードも健在です。

レオとクロが出会う人々の未練や葛藤、そして彼らが紡ぐ人間ドラマには、今回も何度も涙腺を刺激されました。

特に、大河と美穂の悲恋の物語は切なくも美しく、読者の心に深く刻まれることでしょう。

ファンタジーでありながら、人間の感情の機微を丁寧に描き、ミステリーとしても一級品。

シリーズを重ねるごとに進化していく「死神」シリーズの魅力を改めて感じさせてくれる一作でした。

著者「知念実希人」さんについて

『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』の著者、知念実希人は1978年10月12日に沖縄県南城市で生まれた日本の小説家兼医師です。

医療ミステリーの旗手として、医師の経験を活かした作品を多く執筆しています。

2011年に『レゾン・デートル』でばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、2012年に『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューしました。

代表作には今回紹介した「天久鷹央の推理カルテ」シリーズなどがあり、『仮面病棟』『祈りのカルテ』『硝子の塔の殺人』などのヒット作を執筆しています。

また2018年から2020年にかけて、3年連続で本屋大賞にノミネートされました。

知念実希人さんの作品は、医療知識を活かしたリアルな描写と、人間味のあるドラマ性が特徴で、多くの読者から支持を得ています。

『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』を読んだ最後に

『死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ』を読み終えて、まず感じたのは、レオとクロというキャラクターの計り知れない魅力と、作者である知念実希人さんの物語構成の巧みさです。

バラバラだったピースが一つにつながり、壮大な真実が明らかになるクライマックスは圧巻でした。

そして、読後にタイトルの「円舞曲」という言葉が、また違った意味合いを持って心に響いてくるのを感じました。

本作はシリーズ3作目ですが、これまでの作品を読んでいなくても十分に楽しめます。

しかし、1作目の「優しい死神の飼い方」でレオの優しさに触れ、2作目の「黒猫の小夜曲」でクロの不器用な愛情を知っていれば、二匹の言動の端々に込められた想いがより深く伝わり、感動もひとしおでしょう。

命の尊さ、人を想う心の強さ、そして見返りを求めない献身。この物語は、私たちに多くの大切なことを教えてくれます。

読後は、温かい気持ちと共に、明日を生きる勇気が湧いてくるような、そんな素晴らしい読書体験でした。

果たして、レオとクロの物語はこれで完結なのでしょうか?

それとも…?

今後の展開にも期待せずにはいられません。

まだ「死神」シリーズに触れたことのない方にも、ぜひ手に取っていただきたい傑作です。

死神と天使の円舞曲(ワルツ) 「死神」シリーズ

(★4.6)
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