人気の天久鷹央シリーズ!『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』 知念実希人さん著|あらすじ・レビュー

人気の天久鷹央シリーズ!『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』 知念実希人さん著|あらすじ・レビュー

2025年5月19日

甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ

(★4.5)
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知念実希人さんの医療ミステリー長編小説『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』の書評です。

「天才は、時に常識を超える。」

知念実希人さんの『天久鷹央シリーズ』シリーズは、医療ミステリーというジャンルに新風を吹き込んだ作品。

天久鷹央という風変わりな天才医師が、病院という舞台で次々と起こる難事件に挑む姿は、スリリングでありながらどこか温かさも感じさせてくれます。

甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』について

『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』は、2017年 新潮文庫 / 2023年 実業之日本社文庫から発行された知念実希人さんの医療ミステリー長編小説シリーズ。

短編集の「推理カルテ」、長編の「事件カルテ」累計350万部突破の『天久鷹央(あめく たかお)』シリーズ。テレビアニメやテレビドラマ化もしています。

『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』登場人物

天久鷹央(あめく たかお):主人公 天医会総合病院 副院長 兼 統括診断部部長 小柄で童顔のため、高校生に間違えられることも

小鳥遊優(たかなし ゆう):鷹央の部下 鷹央に小鳥というあだ名をつけられる 

鴻ノ池舞(こうのいけ まい):研修医 鷹央に憧れている

成瀬 隆哉(なるせ りゅうや):田無署の刑事

桜井 公康(さくらい きみやす):警視庁捜査一課の刑事

『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』あらすじ

殺人鬼は、何者なのか。戦慄の医療ミステリー!

都内近郊で若い女性が次々と首を絞められ、惨殺された。

警察は現場に残された血痕のDNA鑑定を行い、容疑者を割り出すが、それは四年前に死んだ男だった……。

止まない殺人劇。
メディアに送りつけられる犯行声明文。
これは死者の復活か。
あるいは、真犯人のトリックか。

天医会総合病院の天才女医・天久鷹央は事件の裏に潜む“病”を解き明かし、シリアルキラーに“診断”を下す。

Amazonより引用

『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』は、天才女医・天久鷹央が、難解な医療ミステリーに挑む「天久鷹央の事件カルテ」シリーズの第3弾。

都内近郊で発生した凄惨な連続女性絞殺事件。

「真夜中の絞殺魔」と呼ばれる犯人は、犯行現場に血痕を残しており、そのDNAを鑑定した結果、驚愕の事実が判明します。

なんと、そのDNAの持ち主は、既に4年前に死亡しているはずの男性だったのです。

死者が甦って殺人を犯しているのか?

それとも、これは巧妙なトリックなのか?

警察の捜査が混迷を極める中、天医会総合病院の統括診断部部長、天久鷹央のもとにこの奇妙な事件の情報がもたらされます。

しかも、死亡したとされる男性は、かつて鷹央が研修医時代に死亡診断を下した患者だったのです。

自らの診断の正当性も問われる事態に、鷹央は小鳥遊と共に事件の真相究明に乗り出します。

医学の知識と推理を武器に、死者の復活というオカルトめいた謎に隠された、驚くべき真実とは――。

『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』レビュー・感想


『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』は、知念先生の描く医療×ミステリーの融合が見事でした。

死んだはずの人間が犯人という、一見非科学的な事態に、どのように医学的なアプローチで切り込んでいくのか、ページをめくる手が止まりませんでした。

特に、終盤に向けて明らかになる真相には、「まさか、そういうことだったのか!」と唸らされます。

そして、天久鷹央と小鳥遊優のコンビの魅力は健在です。

天才的すぎるが故に常識が通用しない鷹央先生と、そんな彼女を献身的にサポートしつつ、読者の目線で物語を進めてくれる小鳥遊先生の掛け合いは、シリアスな展開の中でもホッと一息つける清涼剤のようです。

小鳥遊先生のツッコミや心の声には、今回も共感しっぱなしでした。

また、本作では警察の刑事たちも重要な役割を果たしており、鷹央との連携や反発も物語に深みを与えています。

特に、過去の事件との繋がりが明らかになるにつれて、登場人物たちの抱える葛藤やドラマが描かれており、単なる謎解きだけでなく、人間ドラマとしても読み応えがありました。

医学的なトリックや病に関する描写は、専門的でありながらも分かりやすく解説されているため、医療知識がない方でも安心して読めると思います。

もちろん、医療関係者の方なら、さらに深く楽しめるかもしれません。

全体を通して、緊迫感のある展開と巧妙に仕掛けられた伏線、そして驚きの結末に、終始引き込まれました。

まさに一気読み必至の面白さです!

著者「知念実希人」さんについて

『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』の著者、知念実希人は1978年10月12日に沖縄県南城市で生まれた日本の小説家兼医師です。

医療ミステリーの旗手として、医師の経験を活かした作品を多く執筆しています。

2011年に『レゾン・デートル』でばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、2012年に『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューしました。

代表作には今回紹介した「天久鷹央の事件カルテ」シリーズなどがあり、『仮面病棟』『祈りのカルテ』『硝子の塔の殺人』などのヒット作を執筆しています。

また2018年から2020年にかけて、3年連続で本屋大賞にノミネートされました。

知念実希人さんの作品は、医療知識を活かしたリアルな描写と、人間味のあるドラマ性が特徴で、多くの読者から支持を得ています。

『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』を読んだ最後に

『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』を読み終えて、改めて知念実希人先生の筆力に感服しました。

医療の知識をミステリーに落とし込む手腕、魅力的なキャラクター造形、そして読者を飽きさせないストーリー展開。どれをとっても素晴らしかったです。

この作品は、シリーズのファンはもちろんのこと、初めて天久鷹央シリーズを読む方にもおすすめできる一冊だと感じました。

独立した事件が描かれているので、ここから読み始めても十分に楽しめるはずです。(もし可能であれば、「スフィアの死天使」を先に読むと、二人の出会いが分かってもっと楽しめるかもしれません。)

今回の事件を通して、天久先生と小鳥遊先生の関係性もさらに深まったように感じます。

今後の二人がどのような事件に立ち向かっていくのか、そして彼らの個人的な関係性がどう変化していくのか、ますます楽しみになりました。

もし、このレビューを読んで『甦る殺人者』に興味を持っていただけたら嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ

(★4.5)
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