人気の天久鷹央シリーズ!『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』 知念実希人さん著|あらすじ・レビュー

人気の天久鷹央シリーズ!『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』 知念実希人さん著|あらすじ・レビュー

久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ

(★4.4)
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知念実希人さんの医療ミステリー長編小説『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』の書評です。

知念実希人さんの『天久鷹央シリーズ』シリーズは、医療ミステリーというジャンルに新風を吹き込んだ作品。

年を取らない少女キズナ――「不老不死」の謎に、天才女医・天久鷹央が医学の力で挑む!

小鳥遊、鴻ノ池と共に、彼女は科学の光でこの謎を解明できるのか?

久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』について

久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』は、2021年 新潮文庫 / 2023年 実業之日本社文庫から発行された知念実希人さんの医療ミステリー長編小説シリーズ。

短編集の「推理カルテ」、長編の「事件カルテ」累計350万部突破の『天久鷹央(あめく たかお)』シリーズ。テレビアニメやテレビドラマ化もしています。

『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』登場人物

天久鷹央(あめく たかお):主人公 天医会総合病院 副院長 兼 統括診断部部長 小柄で童顔のため、高校生に間違えられることも

小鳥遊優(たかなし ゆう):鷹央の部下 鷹央に小鳥というあだ名をつけられる 

鴻ノ池舞(こうのいけ まい):研修医 鷹央に憧れている

墨田淳子:精神科部長 鷹央が研修医時代の指導医

桜井公康(さくらい きみやす):警視庁捜査一課の刑事

成瀬隆哉(なるせ りゅうや):田無署の刑事

楯石希津奈:不老不死の少女

楯石源蔵:希津奈の父

楯石歌子:希津奈の母

河合:元芸能事務所マネージャー

日村:元芸能事務所社長

神無月:産科クリニック院長

『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』あらすじ

美しいままの少女。

不老不死の謎に、挑む。

かつてアイドルとして芸能活動をしていた少女、楯石希津奈。

15年以上の時を経て、彼女がまったく同じ容姿で現れたことに驚いた精神科部長の墨田淳子は、統括診断部の天久鷹央に診察を依頼する。

だが、検査をしようとした矢先、父親が現れ、希津奈は連れ去られてしまう……。

ミイラ化した遺体。

自殺からの復活。

相次ぐ不可思議な現象の真実は?

現役医師が描く医療ミステリー!

Amazonより引用

『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』は、天才女医・天久鷹央が、難解な医療ミステリーに挑む「天久鷹央の事件カルテ」シリーズの第5弾。

かつてアイドルとして活動していた少女・楯石希津奈が、15年の時を経ても全く変わらぬ美しい姿のまま天医会総合病院に現れるところから物語が始まります。

精神科部長の墨田淳子は、その不可解な状況に驚き、統括診断部の天才医師・天久鷹央に診察を依頼します。

その後、工事現場でミイラ化した男性の遺体が発見されたり、希津奈が自殺からの復活をとげるなど、現実離れした不可解な現象が次々と起こります。

不老不死、龍神伝説、そして蘇り――。

鷹央と仲間たちは、医学と推理の力でこの謎に挑みます。

『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』レビュー・感想


『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』は、医療ミステリーの枠を超え、「不老不死」や「蘇り」といった超常的なテーマを現実の医学知識と巧みに絡めて描いています。

シリーズならではの天久鷹央と小鳥遊の掛け合いに、研修医の鴻ノ池舞が加わり、チームのダイナミズムも一層パワーアップ。

事件の真相に迫る過程では、読者の予想を裏切るトリックや、医学的な知識がふんだんに盛り込まれており、知念実希人さんならではの筆力を存分に味わえます。

特に印象的なのは、希津奈の「生きていていいんですか?」という問いかけが、単なる事件の謎解きを超えて、「生きる意味」や「自分らしさ」といった普遍的なテーマにまで読者の思考を誘う点です。

檻は人を閉じ込めるものであると同時に、守るものでもある――そんな象徴的なモチーフが、登場人物たちの葛藤や成長と重なり合い、物語に深みを与えています。

また、現実にはありえないような現象の解明がメインとなっているため、医療知識がないと推理は難しいものの、知念さんの巧みな文章とテンポの良い展開で一気に読ませてくれます。

著者「知念実希人」さんについて

『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』の著者、知念実希人は1978年10月12日に沖縄県南城市で生まれた日本の小説家兼医師です。

医療ミステリーの旗手として、医師の経験を活かした作品を多く執筆しています。

2011年に『レゾン・デートル』でばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、2012年に『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューしました。

代表作には今回紹介した「天久鷹央の事件カルテ」シリーズなどがあり、『仮面病棟』『祈りのカルテ』『硝子の塔の殺人』などのヒット作を執筆しています。

また2018年から2020年にかけて、3年連続で本屋大賞にノミネートされました。

知念実希人さんの作品は、医療知識を活かしたリアルな描写と、人間味のあるドラマ性が特徴で、多くの読者から支持を得ています。

『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』を読んだ最後に

『久遠の檻』を読み終えた後、ただの医療ミステリーではなく、「生きるとは何か」「人はなぜ変わらずにいられないのか」といった根源的な問いが胸に残ります。

希津奈の不老不死の謎を通して描かれるのは、誰もが抱える「檻」との向き合い方、自分らしく生きることの意味でした。

天久鷹央シリーズの中でも特に心に残る一作であり、読後は静かな余韻とともに、日常の中で自分の「檻」について考えさせられるでしょう。

シリーズファンはもちろん、医療ミステリーや人間ドラマが好きな方にも強くおすすめしたい作品です。

久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ

(★4.4)
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