
小説 君の名は。
(★4.4)
(オーディブル聴き放題 / Kindle¥554 / 楽天¥770)
新海誠さんの小説『小説 君の名は。』の書評です。
日本中が恋をした、あの奇跡の物語を覚えていますか?
歴史的な大ヒットを記録した映画「君の名は。」を、監督である新海誠さん自らが執筆した『小説 君の名は。』をご紹介します。
目次|Contents
『小説 君の名は。』について
『小説 君の名は。』は、2016年に公開された映画を小説化。小説は100部突破。
『小説 君の名は。』登場人物
立花瀧(たちばな たき):東京に住む男子高校生
宮水三葉(みやみず みつは):岐阜県糸守町に住む女子高校生 宮水神社の巫女
宮水四葉:三葉の妹で小学生 宮水神社の巫女
宮水一葉:三葉と四葉の祖母 宮水神社の宮司
宮水俊樹:三葉と四葉の父 糸守町町長
勅使河原克彦:三葉の同級生で親友 通称「テッシー」
名取早耶香:三葉の同級生で親友 通称「サヤちん」
奥寺ミキ:瀧のバイト先の先輩で女子大生
藤井司:瀧の同級生 バイト先も同じ
『小説 君の名は。』あらすじ

まだ会ったことのない君を、探している 監督みずから執筆した映画原作小説
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。
見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。
一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。
やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが――。
出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。
長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。
Amazonより引用
山深い田舎町で憂鬱な毎日を送る女子高校生・宮水三葉。
「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!」 そんな彼女の願いは、ある日、奇妙な形で叶えられる。
一方、東京の都心で暮らす男子高校生・立花瀧も、奇妙な夢を見ていた。
行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっている夢を。
繰り返される不思議な夢。
そして、明らかに抜け落ちている記憶と時間。
二人は気づく。
「俺たち(私たち)、入れ替わってる!?」
戸惑いながらも、お互いの生活を体験していく瀧と三葉。
しかし、二人の出会いを待ち受けていたのは、千年周期で訪れる彗星がもたらす、あまりにも過酷な運命だった。
「忘れたくない人、忘れちゃいけない人、誰だ──?」
誰もが経験したことのない、恋と奇跡の物語が始まる。
『小説 君の名は。』レビュー・感想

映画を観た方は「あぁ、あのシーンだ!」と、美しい映像とRADWIMPSの音楽が頭の中に流れ込んでくるのではないでしょうか。
この小説の最大の魅力は、まさにそこにあります。
映画の感動を追体験しながら、映画では描ききれなかった登場人物たちの「心の声」に触れられるのです。
魅力①:瀧と三葉の「一人称」で語られる、心の機微
映画は、いわば「神の視点」で物語が進んでいきますが、小説は瀧と三葉、それぞれの一人称視点で交互に語られます。 これが、本当に素晴らしい。
- 入れ替わりに気づいた時の、瀧のリアルな焦り。
- 憧れの東京生活を送る、三葉の浮かれた気持ち。
- お互いを意識し始めた時の、淡い戸惑いや切なさ。
「あの時、瀧はこんなことを考えていたのか」「三葉はこんな気持ちだったんだ」と、二人の感情がダイレクトに胸に飛び込んできます。
映画の裏側で起こっていた心の動きを知ることで、二人の絆がなぜあんなにも強く結ばれていったのか、より深く理解できるはずです。
魅力②:新海誠監督の「言葉」で描かれる美しい世界
“映像詩人”とも称される新海誠監督。
その繊細で美しい世界観は、文章でも遺憾なく発揮されています。
光の描写、雨の匂い、彗星が空を流れる瞬間の空気感。
そして、登場人物たちの揺れ動く感情が、詩のように美しい言葉で綴られています。
ページをめくるだけで、映画のあの情景が鮮やかに蘇るような、極上の読書体験が待っています。
魅力③:物語を補完するサイドストーリー
小説版では、映画では詳しく語られなかった部分が補完されています。
三葉の友人であるテッシーやサヤちん、妹の四葉、そして瀧の父親など、脇を固めるキャラクターたちの視点や背景が描かれることで、物語の世界にぐっと奥行きが生まれます。
「君の名は。」の世界をもっと知りたい、というファンにとって、これ以上ない贈り物と言えるでしょう。
著者「新海誠」さんについて
『小説 君の名は。』の著者、新海誠は1973年に長野県小海町で生まれた日本のアニメーション監督、アニメーター、脚本家、小説家です。
2004年、初の長編作品となる『雲のむこう、約束の場所』を発表。第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞、カナダファンタジア映画祭 アニメーション映画部門銀賞、第36回 星雲賞 アート部門、韓国SICAF2005 長編映画部門優秀賞を受賞した。
2016年『君の名は。』を発表。東宝系で全国公開されたこの映画は、日本映画で2番目の興行収入(当時)を稼ぎ出した。原作本として自身が執筆した『小説 君の名は。』も、文庫の週間売上ランキングで8週間1位を記録し、100.9万部を突破した。
2019年『天気の子』が公開。前作『君の名は。』から3年ぶりとなる、7作目の劇場用アニメーション映画。公開から3週連続興行収入1位を獲得した。『小説 天気の子』も年間ベストセラー文庫本の1位となった。
2022年『すずめの戸締まり』が公開。前作『天気の子』から3年ぶりとなる、8作目の劇場用アニメーション映画。公開から3週連続1位を記録した。同年に『小説 すずめの戸締まり』も発売された。
『小説 君の名は。』を読んだ最後に
『小説 君の名は。』こんな方にこそ手に取ってほしい一冊です。
- 映画「君の名は。」を観て、心を揺さぶられた全ての方
- 瀧と三葉、二人の気持ちをもっと深く知りたい方
- 新海誠監督の紡ぐ、美しい言葉の世界に浸りたい方
映画の感動をもう一度、そしてさらに深く味わう。
この小説は、あの奇跡の物語の「答え合わせ」であると同時に、私たちに新たな感動を与えてくれます。
まだ読んでいないなんてもったいない!
ぜひ、瀧と三葉の心の声に耳を澄ませてみてください。
きっと、あなたの「君の名は。」は、もっと特別な物語になるはずです。

小説 君の名は。
(★4.4)
(オーディブル聴き放題 / Kindle¥554 / 楽天¥770)