人気の天久鷹央シリーズ!『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』 知念実希人さん著|あらすじ・レビュー

人気の天久鷹央シリーズ!『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』 知念実希人さん著|あらすじ・レビュー

幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ

(★4.5)
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知念実希人さんの医療ミステリー長編小説『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』の書評です。

「天才は、時に常識を超える。」

知念実希人さんの『天久鷹央シリーズ』シリーズは、医療ミステリーというジャンルに新風を吹き込んだ作品。

天久鷹央という風変わりな天才医師が、病院という舞台で次々と起こる難事件に挑む姿は、スリリングでありながらどこか温かさも感じさせてくれます。

幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』について

『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』は、2016年 新潮文庫 / 2023年 実業之日本社文庫から発行された知念実希人さんの医療ミステリー長編小説シリーズ。

短編集の「推理カルテ」、長編の「事件カルテ」累計350万部突破の『天久鷹央(あめく たかお)』シリーズ。テレビアニメやテレビドラマ化もしています。

『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』登場人物

天久鷹央(あめく たかお):主人公 天医会総合病院 副院長 兼 統括診断部部長 小柄で童顔のため、高校生に間違えられることも

小鳥遊優(たかなし ゆう):鷹央の部下 鷹央に小鳥というあだ名をつけられる 

鴻ノ池舞(こうのいけ まい):研修医 鷹央に憧れている

成瀬:刑事

湯浅:事件の被害者となる清和総合病院の麻酔科医

黒部:清和総合病院 外科部長

戸隠:清和総合病院 外科副部長

辻野:清和総合病院 麻酔科部長

秋津:清和総合病院 オペ看護師

『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』あらすじ

容疑者は、まさかの……?
手術室で起きた不可能犯罪。

手術後のオペ室で、清和総合病院の麻酔医・湯浅春哉が死亡した。
その瞬間、院内カメラに映し出されたのは、まるで「透明人間」と格闘した末に殺害される彼の姿だった。
手術室という密室で生まれた、かつてないほど難解な「謎」。

天才医師・天久鷹央は容疑者を救えるのか……?

医療本格ミステリとして鮮烈な輝きを放つ、シリーズ最高傑作。

Amazonより引用

『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』は、天才女医・天久鷹央が、難解な医療ミステリーに挑む「天久鷹央の事件カルテ」シリーズの第2弾。

清和総合病院のオペ室で、麻酔科医が遺体となって発見された。

手術は既に終了しており、オペ室は密室状態。しかも、室内のカメラには、まるで「透明人間」と格闘するかのような、不可解な映像が残されていた。

この前代未聞の事件に、天医会総合病院の天久鷹央と小鳥遊優が挑むことになる。

さらに、清和総合病院で研修中だった天久鷹央の部下、鴻ノ池舞が事件に深く関わっている可能性が浮上し――。

医学知識を駆使した巧妙なトリック、そして閉ざされた空間で発生した“幻影”のような出来事の真相とは。

鷹央先生は、この難事件に「病」という診断を下せるのか?

『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』レビュー・感想


『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』は、まず、今回の事件がオペ室という特殊な密室で起きるという設定が、非常に引き込まれました。

医療ミスや内部犯行など、様々な可能性が頭をよぎりますが、「透明人間との格闘」という映像が、事件の様相を一層ミステリアスにしています。

天久鷹央の、常識に囚われない視点と膨大な医学知識に基づいた推理は、今回も冴えわたっています。

一見不可能に見える状況も、医学的なアプローチで解き明かしていく過程は、読んでいて非常に爽快です。

今作で特に重要人物となるのが、シリーズでもお馴染みの鴻ノ池舞。

彼女が事件にどう絡むのか、そして彼女の危機に鷹央と小鳥遊がどう立ち向かうのかが見どころの一つ。

小鳥遊先生の、時に振り回されつつも鷹央先生を支え、患者や仲間に寄り添う姿も印象的で、彼の視点から物語が進むことで、読者はより事件に没入できます。

医療ミステリーとしての面白さはもちろんのこと、登場人物たちの関係性や心情描写も丁寧に描かれており、人間ドラマとしても読み応えがあります。

医療現場の緊迫感や倫理的な問題提起なども含まれており、単なる謎解きにとどまらない深みを感じました。

タイトルの「幻影の手術室」が意味するものとは何か、そして事件に隠された「病」の正体とは。

ページをめくる手が止まらなくなること請け合いの作品です。

著者「知念実希人」さんについて

『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』の著者、知念実希人は1978年10月12日に沖縄県南城市で生まれた日本の小説家兼医師です。

医療ミステリーの旗手として、医師の経験を活かした作品を多く執筆しています。

2011年に『レゾン・デートル』でばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、2012年に『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューしました。

代表作には今回紹介した「天久鷹央の事件カルテ」シリーズなどがあり、『仮面病棟』『祈りのカルテ』『硝子の塔の殺人』などのヒット作を執筆しています。

また2018年から2020年にかけて、3年連続で本屋大賞にノミネートされました。

知念実希人さんの作品は、医療知識を活かしたリアルな描写と、人間味のあるドラマ性が特徴で、多くの読者から支持を得ています。

『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』を読んだ最後に

『幻影の手術室』は、「天久鷹央の事件カルテ」シリーズの魅力が凝縮された一冊だと感じました。

奇妙な現象の裏に隠された論理的な真相、そして医療現場ならではのリアリティ。

知念実希人さんの筆力によって、それらが見事に融合しています。

シリーズファンはもちろんのこと、本格的な医療ミステリーを読みたい方にも自信を持っておすすめできる作品です。

読後には、タイトルの意味を改めて考えさせられるかもしれません。

ぜひ、天久鷹央先生と一緒に、「幻影」に隠された真実を解き明かす体験をしてみてください。

幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ

(★4.5)
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