人気の天久鷹央シリーズ!『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』 知念実希人さん著|あらすじ・レビュー

人気の天久鷹央シリーズ!『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』 知念実希人さん著|あらすじ・レビュー

火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ

(★4.5)
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知念実希人さんの医療ミステリー長編小説『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』の書評です。

知念実希人さんの『天久鷹央シリーズ』シリーズは、医療ミステリーというジャンルに新風を吹き込んだ作品。

「人体自然発火現象」――このオカルトめいた謎に、天才女医・天久鷹央が医学の力で挑む!

相棒の小鳥遊医師と共に、彼女は科学の光で闇を照らし出せるのか?

火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』について

火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』は、2018年 新潮文庫 / 2023年 実業之日本社文庫から発行された知念実希人さんの医療ミステリー長編小説シリーズ。

短編集の「推理カルテ」、長編の「事件カルテ」累計350万部突破の『天久鷹央(あめく たかお)』シリーズ。テレビアニメやテレビドラマ化もしています。

『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』登場人物

天久鷹央(あめく たかお):主人公 天医会総合病院 副院長 兼 統括診断部部長 小柄で童顔のため、高校生に間違えられることも

小鳥遊優(たかなし ゆう):鷹央の部下 鷹央に小鳥というあだ名をつけられる 

鴻ノ池舞(こうのいけ まい):研修医 鷹央に憧れている

墨田:精神科部長 鷹央が研修医時代の指導医

碇教授:帝都大学教授

倉本あおい:帝都大学日本史学講座 准教授

室田教授:翠明大学日本史学科 教授

室田はるか:室田教授の娘

内村准教授:翠明大学 室田研究室 准教授

加賀谷:室田教授の研究室助手

蘆屋 炎蔵:平安時代の呪詛師

『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』あらすじ

謎の人体発火現象。
陰陽師の呪いに、挑め。

安倍晴明、蘆屋道満……そんな平安時代の陰陽師に連なる存在として、複数の大学が調査を行っていた呪詛師・蘆屋炎蔵。
だが、彼の墓を調べた研究者たちが相次いで体調を崩し、さらに翠明大学准教授が謎の焼死を遂げる。殺人か、呪いか。
皆が疑心暗鬼に陥る中で、鷹央は事件に潜む「病」を看破するが、それは新たな呪いの始まりでしかなかった……。

Amazonより引用

『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』は、天才女医・天久鷹央が、難解な医療ミステリーに挑む「天久鷹央の事件カルテ」シリーズの第4弾。

物語は、平安時代の陰陽師・蘆屋炎蔵の墓を調査した大学准教授が、火の気のない場所で突然発火し焼死するという不可解な事件から始まります。

この事件を皮切りに、調査に関わった他の研究者たちも次々と体調を崩したり、謎の発火現象に見舞われたりと、まるで「陰陽師の呪い」が現代に甦ったかのような状況に。

世間が呪い説で騒然とする中、天医会総合病院の女医・天久鷹央は、医学的な視点から事件の解明に挑みます。

被害者の過去、燃焼のメカニズム、そして現場に残されたわずかな手がかり…。

医学的知識と類まれなる洞察力で、鷹央は事件の真相へと迫っていきます。

しかし、その先には想像を絶する「火焔の凶器」の正体と、恐るべき犯人の姿が待ち受けていました。

『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』レビュー・感想


『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』の最大の魅力は、オカルト的な「呪い」と、現代医学の冷静な推理が見事に融合している点。

人体自然発火という一見不可解な現象に対し、天久鷹央が科学と医学の知識を駆使して論理的にアプローチしていく過程は、シリーズならではの知的興奮を味わわせてくれます。

事件の謎解きは二転三転し、読者を飽きさせません。

特に、犯人の動機やトリックが明らかになる終盤はスピーディーかつスリリングで、最後までハラハラドキドキの展開が続きます。

また、鷹央と小鳥遊の「タカタカコンビ」の絶妙な掛け合いや、シリーズを通じて深まる二人の絆も見どころのひとつです。

医療ミステリーとしてのリアリティも健在で、専門的な医学知識や現実に起こりうる現象が物語に説得力を与えています。

一方で、陰陽師の呪いという伝承が事件に絡むことで、単なる科学ミステリーにとどまらない独特の雰囲気と深みが生まれています。

シリーズの中でも特に読みごたえがあり、複雑な人間関係や偶然が絡み合うことで、単純な事件がより大きな渦となっていく構成力にも唸らされました。

著者「知念実希人」さんについて

『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』の著者、知念実希人は1978年10月12日に沖縄県南城市で生まれた日本の小説家兼医師です。

医療ミステリーの旗手として、医師の経験を活かした作品を多く執筆しています。

2011年に『レゾン・デートル』でばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、2012年に『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューしました。

代表作には今回紹介した「天久鷹央の事件カルテ」シリーズなどがあり、『仮面病棟』『祈りのカルテ』『硝子の塔の殺人』などのヒット作を執筆しています。

また2018年から2020年にかけて、3年連続で本屋大賞にノミネートされました。

知念実希人さんの作品は、医療知識を活かしたリアルな描写と、人間味のあるドラマ性が特徴で、多くの読者から支持を得ています。

『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』を読んだ最後に

『火焔の凶器』は、医療ミステリーとしての面白さはもちろん、科学とオカルトの間で揺れる人間の心理や、現代社会における「真実を見抜く力」の大切さを考えさせられる一冊でした。

事件の真相に辿り着いたときの爽快感と、登場人物たちの成長や絆に心が温まる読後感が印象的です。

天久鷹央シリーズが好きな方はもちろん、初めて手に取る方にもおすすめできる、知念実希人さんの実力が光る傑作です。

次巻ではどんな謎と出会えるのか、楽しみでなりません。

火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ

(★4.5)
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