
魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ
(★4.4)
(オーディブル聴き放題 / Kindle¥722 / 楽天¥880)
知念実希人さんの医療ミステリー長編小説『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』の書評です。
知念実希人さんの『天久鷹央シリーズ』シリーズは、医療ミステリーというジャンルに新風を吹き込んだ作品。
かつて医療ミスで廃院となった「時計山病院」で、不可解な転落死が発生。
死体に痕跡を残さない“魔弾”の正体とは?
現役医師が描く、驚愕のトリックと人間ドラマが交錯する新感覚メディカル・ミステリー
目次|Contents
『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』について
『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』は、2024年 実業之日本社文庫から発行された知念実希人さんの医療ミステリー長編小説シリーズ。
短編集の「推理カルテ」、長編の「事件カルテ」累計350万部突破の『天久鷹央(あめく たかお)』シリーズ。テレビアニメやテレビドラマ化もしています。
『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』登場人物
天久鷹央(あめく たかお):主人公 天医会総合病院 副院長 兼 統括診断部部長 小柄で童顔のため、高校生に間違えられることも
小鳥遊優(たかなし ゆう):鷹央の部下 鷹央に小鳥というあだ名をつけられる
鴻ノ池舞(こうのいけ まい):研修医 鷹央に憧れている
桜井公康(さくらい きみやす):警視庁捜査一課の刑事
成瀬隆哉(なるせ りゅうや):田無署の刑事
時山由梨:本事件の依頼人
時山剛一郎:由梨の父 元時山病院長
時山恵子:由梨の母 看護師
時山文太:恵子の次兄
時山和志:恵子の長兄 シンガポール在住
田辺真知子:時山文太の前妻 外科医
『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』あらすじ

西東京市に聳える時計山病院。
11年前の医療ミスで廃院に追い込まれたこの場所で、一人の看護師が転落死する。
死亡状況や解剖結果から自殺が有力視される中、娘の由梨だけはそれを頑なに否定した。
天医会総合病院の副院長・天久鷹央は彼女の想いに応え、「呪いの病院」の謎を解くことを決意する。
死体にまったく痕跡が残らない“魔弾”の正体とは?
現役医師が描く医療ミステリー!
Amazonより引用
『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』は、天才女医・天久鷹央が、難解な医療ミステリーに挑む「天久鷹央の事件カルテ」シリーズの第5弾。
物語の舞台は、西東京市にそびえる「時計山病院」。
かつて医療ミスによって廃院となったこの病院で、看護師が不可解な転落死を遂げます。
警察や周囲は自殺と判断しますが、遺族である娘・由梨は「母は自殺するはずがない」と訴えます。
彼女の想いに応え、天医会総合病院の副院長であり天才医師の天久鷹央が調査に乗り出します。
現場は“呪いの病院”と呼ばれ、過去にも不審な死が続いていました。
しかも遺体には一切の外傷や痕跡がなく、まるで“魔弾”に撃たれたかのよう。
鷹央は医療と推理の知識を駆使し、不可視の“魔弾”の正体と事件の真相に迫ります。
『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』レビュー・感想

『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』は、医療ミステリーとしての醍醐味と、シリーズならではのキャラクターの掛け合いが光る一冊です。
天久鷹央の天才的な推理と、助手・小鳥とのコミカルなやり取りが物語に緩急を与え、重いテーマの中にも読みやすさがあります。
事件のトリックは、現役医師である著者ならではのリアリティと驚きがあり、「本当にそんなことがあり得るのか?」と読後も考えさせられました。
また、単なる謎解きにとどまらず、家族の絆や親子の葛藤といった人間ドラマも丁寧に描かれており、ミステリー好きだけでなく幅広い読者に訴える内容です。
特に印象的だったのは、事件の背後にある家族の関係性や、医師という職業に対する誇りと責任感。
鷹央の一言一言に、現役医師である知念実希人さんならではの重みが感じられます。
著者「知念実希人」さんについて
『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』の著者、知念実希人は1978年10月12日に沖縄県南城市で生まれた日本の小説家兼医師です。
医療ミステリーの旗手として、医師の経験を活かした作品を多く執筆しています。
2011年に『レゾン・デートル』でばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、2012年に『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューしました。
代表作には今回紹介した「天久鷹央の事件カルテ」シリーズなどがあり、『仮面病棟』『祈りのカルテ』『硝子の塔の殺人』などのヒット作を執筆しています。
また2018年から2020年にかけて、3年連続で本屋大賞にノミネートされました。
知念実希人さんの作品は、医療知識を活かしたリアルな描写と、人間味のあるドラマ性が特徴で、多くの読者から支持を得ています。
『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』を読んだ最後に
『魔弾の射手』は、医療ミステリーとしての完成度はもちろん、キャラクターの成長や人間模様もしっかりと描かれている作品です。
シリーズを通して安定した面白さがあり、本作単体でも十分楽しめますが、他のエピソードも読みたくなる魅力があります。
読み終えて感じるのは、単なる事件解決の爽快感だけでなく、登場人物たちの心の変化や、医療現場のリアルな葛藤に触れられた満足感。
ミステリー好き、医療ものが好きな方には特におすすめしたい一冊です。

魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ
(★4.4)
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