
絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ
(★4.4)
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知念実希人さんの医療ミステリー長編小説『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』の書評です。
知念実希人さんの『天久鷹央シリーズ』シリーズは、医療ミステリーというジャンルに新風を吹き込んだ作品。
九月の熱帯夜、救急外来に運ばれた身元不明の凍死体
――常識を覆す異常事態の裏で、天才医師・天久鷹央が日本全土を揺るがす巨大な陰謀に挑む。
シリーズ最大規模の凶悪犯罪、その真相に迫る新感覚メディカル・ミステリー!
目次|Contents
『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』について
『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』は、2024年 実業之日本社文庫から発行された知念実希人さんの医療ミステリー長編小説シリーズ。
短編集の「推理カルテ」、長編の「事件カルテ」累計350万部突破の『天久鷹央(あめく たかお)』シリーズ。テレビアニメやテレビドラマ化もしています。
『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』登場人物
天久鷹央(あめく たかお):主人公 天医会総合病院 副院長 兼 統括診断部部長 小柄で童顔のため、高校生に間違えられることも
小鳥遊優(たかなし ゆう):鷹央の部下 鷹央に小鳥というあだ名をつけられる
鴻ノ池舞(こうのいけ まい):研修医 鷹央に憧れている
桜井公康(さくらい きみやす):警視庁捜査一課の刑事
成瀬隆哉(なるせ りゅうや):田無署の刑事
服部良蔵:警視庁公安部公安総務課 桜井刑事の同期
天王寺龍雅:帝都大学理工学部卒 凍死遺体で発見される
天王寺正一:龍雅の父親
秋葉駿平:公安の協力者
『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』あらすじ

熱帯夜に起きた凍死事件。
蠢くテロリストの影。九月の熱帯夜、小鳥遊優と鴻ノ池舞が当直を務める救急外来に搬送されてきた身元不明の男性。
その死因は「凍死」だった。
摩訶不思議な状況を前に司法解剖の必要性を説く医師達だったが、刑事の反応は芳しくなく……。
捜査機関の協力が得られない中、天久鷹央は独力で遺体の正体に迫るが、それは日本全土を揺るがす大事件の序章に過ぎなかった。
シリーズ最大規模の凶悪犯罪の真相は!
Amazonより引用
『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』は、天才女医・天久鷹央が、難解な医療ミステリーに挑む「天久鷹央の事件カルテ」シリーズの第9弾。
九月の熱帯夜。
天医会総合病院の救急外来に、トランクス一枚で凍死した身元不明の男性が運び込まれます。
明らかに異常な状況にもかかわらず、警察は事件性なしと判断し、司法解剖の許可も下りない。
納得できない天才医師・天久鷹央は、助手の小鳥遊と共に独自の調査に乗り出します。
しかし、それは日本全土を震撼させる大規模テロ計画の、ほんの序章に過ぎませんでした。
「みえない敵」の正体とは?
そして「絶対零度」に隠された恐るべき殺意とは?
天才医師・鷹央が、シリーズ史上最も凶悪な犯罪に挑みます!
不可解な「凍死」の謎から、物語は公安警察をも巻き込む壮大なスケールへと発展。「テロル」というタイトルの通り、一刻の猶予も許されない緊迫した展開が読者を待ち受けます。
『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』レビュー・感想

『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』
魅力①:奇抜な謎と緻密なロジックの融合
「熱帯夜に凍死」という、あまりにも奇妙でインパクトのある謎。
この不思議な現象の謎を、鷹央が医学的知識と天才的な観察眼で解き明かしていく過程は、まさに圧巻の一言です。
現役医師である知念実希人さんだからこそ描ける、リアルで緻密なロジックには、毎度のことながら「なるほど!」と唸らされます。
本作では、二つの凍死事件が登場しますが、それぞれに全く異なる驚きのトリックが隠されており、ミステリーファンも大満足間違いなしです。
魅力②:キャラクターたちの成長と絆
このシリーズの魅力は、なんといっても個性豊かなキャラクターたち。
変わり者だけど天才的な診断医・天久鷹央と、彼女に振り回されながらも成長していく元外科医・小鳥遊優。
今作では、二人の信頼関係がこれまで以上に強く描かれています。
特に、凶悪なテロリストを前に、医師としての誇りをかけて対峙する鷹央の姿には胸が熱くなりました。
また、お馴染みの研修医・鴻ノ池舞も大活躍!「タカタカペア」に彼女が加わった「タカノイケトリオ」のチームワークも必見です。
彼らの軽妙なやり取りが、緊迫した物語の中で心地よいアクセントになっています。
魅力③:医療ミステリーの枠を超えた社会派エンターテインメント
これまでの事件とは一線を画し、カルト教団による大規模テロという社会的なテーマを扱っているのが本作の最大の特徴です。
人の命を救う「医師」という存在が、無差別に命を奪おうとする「テロリスト」と対峙する構図は、非常に考えさせられるものがあります。
単なる謎解きに留まらず、命の重さや正義とは何かを問いかける、重厚な人間ドラマとしても楽しむことができる一冊です。
著者「知念実希人」さんについて
『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』の著者、知念実希人は1978年10月12日に沖縄県南城市で生まれた日本の小説家兼医師です。
医療ミステリーの旗手として、医師の経験を活かした作品を多く執筆しています。
2011年に『レゾン・デートル』でばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、2012年に『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューしました。
代表作には今回紹介した「天久鷹央の事件カルテ」シリーズなどがあり、『仮面病棟』『祈りのカルテ』『硝子の塔の殺人』などのヒット作を執筆しています。
また2018年から2020年にかけて、3年連続で本屋大賞にノミネートされました。
知念実希人さんの作品は、医療知識を活かしたリアルな描写と、人間味のあるドラマ性が特徴で、多くの読者から支持を得ています。
『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』を読んだ最後に
『絶対零度のテロル』を読み終えて、以下のような方におすすめです。
手に汗握るスリリングなミステリーが読みたい方
魅力的なキャラクターたちの活躍を楽しみたい方
読み応えのある社会派エンターテインメントに触れたい方
この物語を読み終えた時、あなたはきっと天久鷹央という医師の覚悟と、彼女を支える仲間たちの絆に心を揺さぶられているはず。
シリーズ史上最もスリリングで壮大な事件の結末を、ぜひその目で見届けてください。

絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ
(★4.4)
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