
爆弾
(★4.1)
(Kindle¥1,067 / 楽天¥1,067 / オーディブル聴き放題)
呉勝浩さんの推理小説『爆弾』の書評です。
自称霊能力を持つ男が爆弾の存在を予告!東京、炎上。正義は、守れるのか。本格推理ミステリー。
目次|Contents
『爆弾』について
『爆弾』は、2022年4月に講談社から発行された呉勝浩さんの推理小説。
「第167回 直木三十五賞」候補。「このミステリーがすごい! 2023年版」「ミステリが読みたい2023年版」1位。2025年映画化決定。
『爆弾』登場人物
スズキタゴサク:自称霊感を持つ男 物語の中心的な存在
類家:警視庁特殊犯係の刑事 変人だがキレ者
倖田沙良:沼袋交番勤務の巡査
『爆弾』あらすじ

東京、炎上。正義は、守れるのか。
些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
Amazonより引用
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。
呉勝浩さんの『爆弾』は、一つの爆弾予告から始まるスリリングな犯罪小説。
軽犯罪で警察に捕まった自称霊能者の男が、次々と爆発を予告し警察を翻弄していきます。
物語は、爆弾犯と警察の心理戦を軸に展開し、緻密な伏線と予測不能な展開が読者を引き込んでいきます。
果たして犯人の目的とは何なのか?そして警察はこの脅威を阻止できるのか?
極限状態の中で繰り広げられる頭脳戦が見どころです。
『爆弾』レビュー・感想

『爆弾』は、単なるサスペンス小説にとどまらず、人間心理の奥深さを鋭く描いた作品。
まず、最大の魅力は緊張感あふれるストーリー展開。爆弾予告というシンプルな導入ながら、そこから次々と想定外の展開が続き、最後まで一気に読ませる力があります。
また、登場人物たちの心理描写も秀逸です。犯人の行動に隠された意図や、警察側の焦燥感、メディアや世論の反応など、リアリティのある描写が物語に深みを加えています。
特に、犯人像が徐々に浮かび上がる過程は圧巻で、読者の予想を裏切るような展開が続きます。
文章のテンポも非常に良く、シンプルでありながら力強い文体が作品のスピード感を引き立てています。
2025年映画化が決定し、映像としても面白そうな作品であり、映画やドラマになればスリリングな映像体験が期待できそうです。
著者「呉勝浩」さんについて
『爆弾』の著者、呉勝浩(ごかつひろ)さんは1981年生まれの小説家です。
2015年に『道徳の時間』で第61回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。
2020年には、『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞と第73回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門を受賞。
『爆弾』を読んだ最後に
『爆弾』を読み終えたとき、単なる犯罪小説という枠を超え、現代社会に潜む「爆弾」とは何かを問いかける作品でした。
犯人の目的や動機が明らかになったとき、読者はただ驚くだけでなく、考えさせられる部分も多いでしょう。
ラストまで一気に駆け抜ける疾走感があり、読後に深い余韻を残す一冊。
スリラーやミステリーが好きな方はもちろん、社会派小説としての側面に興味がある方にもおすすめです。
2025年映画化が決定したこの『爆弾』、ぜひ手に取って読んでみてください。

爆弾
(★4.1)
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