『クリムゾンの迷宮』 貴志祐介さん著|あらすじ・レビュー

『クリムゾンの迷宮』 貴志祐介さん著|あらすじ・レビュー

クリムゾンの迷宮

(★4.3)
(Kindle¥653 / 楽天¥748 / オーディブル聴き放題)


貴志祐介さんの小説『クリムゾンの迷宮』の書評です。

主人公はこの世のものとも思えない場所で目が覚める。あなたは、この迷宮で生き残ることができるのか?貴志祐介さんの傑作長編サバイバルホラー小説。

『クリムゾンの迷宮』について

『クリムゾンの迷宮』は、1999年に角川ホラー文庫より発表された貴志祐介さんのサバイバルホラー小説。

『クリムゾンの迷宮』登場人物

藤木芳彦:主人公 33歳のバツイチ、会社倒産後にホームレスとなる

大友藍:ヒロイン エロ漫画家

『クリムゾンの迷宮』あらすじ

藤木芳彦は、この世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。

視界一面を、深紅色に濡れ光る奇岩の連なりが覆っている。

ここはどこなんだ?

傍らに置かれた携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された……」それは、血で血を洗う凄惨なゼロサム・ゲームの始まりだった。

『黒い家』で圧倒的な評価を得た著者が、綿密な取材と斬新な着想で、日本ホラー界の新たな地平を切り拓く、傑作長編。

Amazonより引用

貴志祐介さんの『クリムゾンの迷宮』は、ある日、主人公・藤木芳彦が見知らぬ場所で目を覚ますところから始まります。

目の前には携帯型ゲーム機があり、そこには「ゲームを開始せよ」という指示が表示されていた。状況を把握できないまま、彼は他の見知らぬ男女と合流し、彼らとともにこの不可解な状況を理解しようと試みる。

しかし、やがて彼らは気づく——この“ゲーム”はただの遊びではなく、生きるか死ぬかのデスゲームなのだと。

赤く染まる迷宮を舞台に、藤木たちは生き延びるための選択を迫られ、極限状態の中で人間の本性が露わになっていく。

彼らはなぜここに連れてこられたのか? そして、このゲームの本当の目的とは——。

『クリムゾンの迷宮』レビュー・感想


貴志祐介さんの『クリムゾンの迷宮』を読んで

本作は「バトルロワイヤル」や「カイジ」などの作品が好きな人にはたまらないサバイバル・スリラーです。閉鎖空間での極限状態が、貴志祐介さんならではのリアリティあふれる描写とともに展開され、読者はページをめくる手が止まらなくなることでしょう。

まず特筆すべきは、舞台設定の秀逸さです。

火星と思わせる見知らぬ場所というシチュエーションに加え、ゲーム感覚で進行するシステムが、まるで自分自身がプレイヤーとなって進んでいるような没入感を生み出します。ゲーム機の存在やルールの説明が、不気味なリアリティを与え、徐々に明かされていく「この世界の正体」が読者の知的好奇心を刺激します。

また、人間の本性を描く心理描写が圧巻です。状況が厳しくなるにつれ、登場人物たちの関係性が変化し、裏切りや疑心暗鬼、協力といった要素が絡み合います。特に藤木の視点を通して、他者を信じることの難しさや、生存本能がむき出しになる瞬間の緊迫感がリアルに伝わってきます。

さらに、ストーリーのテンポの良さも魅力の一つです。次々と起こる事件、容赦なく訪れる死、そして衝撃の真相——これらが一気に押し寄せ、最後まで息もつかせぬ展開を作り出しています。

ホラーやミステリー要素も巧みに取り入れられており、単なるサバイバルものにとどまらない奥深さがあります。

著者「貴志祐介」さんについて

『クリムゾンの迷宮』の著者、貴志祐介(きしゆうすけ)さんは、1959年大阪府生まれの小説家です。

1996年『十三番目の人格 ISOLA』で「第3回日本ホラー小説大賞」佳作を受賞し、作家デビュー
1997年『黒い家』で「第4回日本ホラー小説大賞」を受賞

貴志祐介さんの作品は、心理的な深みと社会的な洞察力を兼ね備えたミステリーとして、多くの読者から支持されています。

『クリムゾンの迷宮』を読んだ最後に

『クリムゾンの迷宮』は、単なるデスゲームものではなく、人間の心理や極限状態での選択が緻密に描かれた作品です。

特に「自分ならどうするか?」と考えながら読むと、より一層物語にのめり込むことができるでしょう。

また、貴志祐介さんの文章は映像的で、まるで映画を見ているかのような臨場感があります。物語の終盤にかけて明かされる真相は衝撃的であり、読後に深く考えさせられる点も印象的でした。

サバイバルスリラーが好きな方、心理戦が絡む物語に興味がある方には、ぜひ一読をおすすめします。

あなたなら、この迷宮で生き残ることができるでしょうか?

クリムゾンの迷宮

(★4.3)
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