『神様の定食屋』 中村颯希さん著|あらすじ・レビュー

『神様の定食屋』 中村颯希さん著|あらすじ・レビュー

2025年3月19日

神様の定食屋

(★4.5)
(Kindle¥268 / 楽天¥672 / オーディブル聴き放題)


中村颯希さんの小説『神様の定食屋』の書評です。

両親を事故で亡くした哲史は、妹と共に両親が営んでいた定食屋「てしをや」を引き継ぐことに。

『神様の定食屋』について

『神様の定食屋』は、2017年に双葉文庫から発行された中村颯希さんのファンタジー小説。

2016年、小説家になろうで『神様の定食屋』の連載を開始し、2017年に書籍化されました。

『神様の定食屋』登場人物

高坂哲史:物語の主人公 両親を事故で亡くし、定食屋「てしをや」を継ぐ

高坂志穂:主人公の妹 兄と共に「てしをや」を継ぐ

『神様の定食屋』あらすじ

両親を事故で失った高坂哲史は、妹とともに定食屋「てしをや」を継ぐことに。

ところが料理ができない哲史は、妹に罵られてばかり。ふと立ち寄った神社で、「いっそ誰かに体を乗っ取ってもらって、料理を教えてほしい」と愚痴をこぼしたところ、なんと神様が現れて、魂を憑依させられてしまった。

料理には誰かの想いがこもっていることを実感する、読んで心が温まる一冊。

Amazonより引用

中村颯希さんの『神様の定食屋』は、心温まるファンタジー小説です。

物語の舞台は、「てしをや」という小さな定食屋。ここには、料理を通してさまざまな事情を抱えた人々が訪れます。

主人公は、両親を突然の事故で亡くし、定食屋を継ぐことになった青年。

彼は料理を通じて、人々の心を癒し、時には人生を変えるような出来事を経験していきます。定食屋を訪れる客たちは、どこか寂しさや悩みを抱えており、温かい料理と心のこもったもてなしによって救われていくのです。

『神様の定食屋』レビュー・感想

一皿目 チキン南蛮

--亡くなった母の想いが、息子へ母の味を想いださせます

二皿目 天たまかけご飯

--天ぷら屋を営んでいた銀次が、弟子への想いを伝えます

三皿目 具だくさん豚汁

--姑の魂が義理の娘への想いを、娘が姑への想いを伝えます

四皿目 フレンチ風オムライス

--フランス人シェフのジルの魂が、ジルの恋人への想いを伝えます

五皿目 「てしをや」名物・唐揚げ

--哲史と志穂が協力し、両親の想いが込められた唐揚げ定食を完成させます


『神様の定食屋』の魅力は、何といっても「料理」と「人の心の交流」にあります。

異世界を舞台にしながらも、描かれる料理の数々はどこか懐かしく、読んでいるだけで香りや味が伝わってくるような感覚を味わえます。

また、登場人物たちの背景が丁寧に描かれており、彼らの悩みや葛藤に共感しながら読み進めることができます。特に、料理が人々を癒し、時には人生の転機となる様子は感動的で、読み終えた後に温かい気持ちになれる作品です。

ストーリー展開もシンプルながら引き込まれる要素が多く、一話ごとに心に残るエピソードが詰まっています。

ファンタジー要素と現実的な人間ドラマが絶妙に融合しており、まるで優しい物語の中に包まれるような読後感が味わえます。

著者「中村颯希」さんについて

『神様の定食屋』の著者、中村颯希(なかむらさつき)さんは、千葉県出身の小説家です。

2016年、小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していた『無欲の聖女は金にときめく』の書籍化で作家としてデビュー

代表作の一つ『ふつつかな悪女ではございますが 雛宮蝶鼠とりかえ伝』は、シリーズ累計300万部を突破

中村颯希さんの作品は、優しい世界観や、人と人とのつながりを大切にしたストーリーが多いのが特徴。特に、料理や日常の温かさを描くことに長けており、心がほっとする作品が多くの読者に愛されています。

『神様の定食屋』を読んだ最後に

『神様の定食屋』は、疲れた心をそっと癒してくれるような作品です。

亡くなった人が憑依するという非現実的な舞台でありながら、料理を通じた人のつながりや温もりが、現実世界の私たちにも深く響きます。

「美味しいご飯には、人を幸せにする力がある」——そんなシンプルでありながら大切なことを改めて思い出させてくれる物語です。

ぜひ、温かい飲み物を片手に、ゆっくりと味わいながら読んでみてください。

神様の定食屋

(★4.5)
(Kindle¥268 / 楽天¥672 / オーディブル聴き放題)