『告白』 湊かなえさん著|あらすじ・レビュー

『告白』 湊かなえさん著|あらすじ・レビュー

告白

(★4.4)
(Kindle¥646 / 楽天¥680 / オーディブル聴き放題)


湊かなえさんの小説『告白』の書評です。

私の娘は、このクラスの生徒によって殺された。中学校の女性教師による「告白」からはじまる驚愕の物語。

『告白』について

『告白』は、2008年に双葉社より発表された湊かなえさんの小説。

2009年「第6回本屋大賞」受賞、「週刊文春ミステリー」1位ほか。累計300万部を超えるベストセラー。

『告白』登場人物

森口悠子:主人公の中学校教師 シングルマザーで4歳の娘を亡くし復讐を決意する

森口愛美:悠子の4歳の娘 中学校のプールで命を落とす

渡辺修哉:少年A 愛美殺害に関与した生徒

下村直樹:少年B 愛美殺害に関与した生徒

『告白』あらすじ

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」

我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。

語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。

衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラー。

Amazonより引用

湊かなえさんの『告白』は、ある中学校で、一人の教師・森口悠子が退職を決意する。

彼女の最後の授業で語られたのは、彼女の娘が学校のプールで命を落とした事件についてだった。

しかし、それは単なる事故ではなく、生徒による殺人だったのだ。森口は、その犯人を「A」と「B」と呼び、復讐の計画を告白する——。

物語は、複数の登場人物の視点から語られ、それぞれの告白が絡み合いながら、真実が少しずつ明らかになっていく。

誰が何を考え、どのような動機で行動したのか——。

次々と明かされる衝撃の事実が、読者を最後まで引き込んでいく。

『告白』レビュー・感想

第一章 聖職者

森口悠子の「告白」 最後の授業で生徒たちに衝撃的な事実を告げる

第二章 殉教者

新年度になり、森口の「告白」の事を知らない新任教諭が担任となる 

第三章 慈愛者

少年Bの母の視点 森口の復讐によって息子が苦しんでいることを知り、彼女は息子を守ろうとする

第四章 求道者

少年Bの視点 彼は家庭環境や母親との関係に苦しみ、その影響で事件に至った経緯が描かれる

第五章 信奉者

少年Aの視点 天才的な頭脳を持つが、母親に認められず歪んだ価値観によって、彼の内面が明かされる

第六章 伝道者

森口悠子の視点 最後に語られるのは、森口の最終的な復讐


『告白』は、心理描写の巧みさと緊張感あふれるストーリー展開が光る作品です。

登場人物の視点が次々と切り替わることで、一つの事件に対する多角的な見方が生まれ、読むたびに印象が変わるのが特徴的です。

特に、森口の冷静で淡々とした語り口が恐ろしさを際立たせています。

復讐に燃える彼女の決意には共感しつつも、彼女の手段に対しては読者として複雑な感情を抱かざるを得ません。また、加害者である生徒たちの背景や心理が深く掘り下げられており、彼らの歪んだ価値観がどのように形成されたのかを知ることで、単なる「悪人」として片付けられない部分も見えてきます。

また、本作は単なるミステリーではなく、人間の本質や社会問題にも切り込んでいます。

教育、家庭環境、いじめ、倫理観——。これらの要素が絡み合い、考えさせられる場面が多い作品でした。

著者「湊かなえ」さんについて

『告白』の著者、湊かなえ(みなとかなえ)さんは、1973年広島県生まれの小説家です。

2007年に『聖職者』で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー

2009年に本書『告白』が 本屋大賞を受賞、累計300万部を超えるベストセラー

湊かなえさんの作品は、心理的な深みと社会的な洞察力を兼ね備えたミステリーとして、多くの読者から支持されています。

『告白』を読んだ最後に

『告白』を読んだ後、しばらく心がざわつくような余韻が残る作品でした。

衝撃的な展開の連続に息をのむ一方で、登場人物それぞれの選択に対し、「もし自分だったらどうするだろう?」と考えずにはいられません。

『告白』は、単なる復讐劇ではなく、人間の弱さや闇を描き出す深い作品です。

湊かなえさんの独特な筆致と構成力によって、読者は物語に引き込まれながらも、さまざまな感情を揺さぶられます。

ミステリーや心理サスペンスが好きな方はもちろん、社会問題について考えたい方にもおすすめの一冊です。

告白

(★4.4)
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