館の謎が謎を呼ぶ!『兇人邸の殺人』|あらすじ・レビュー

館の謎が謎を呼ぶ!『兇人邸の殺人』|あらすじ・レビュー

兇人邸の殺人

(★4.5)


今村昌弘さんが贈る本格ミステリの傑作「兇人邸の殺人」。

異様な館を舞台に繰り広げられる、予測不能の連続殺人事件。

緻密なトリックと衝撃のどんでん返しで、読者を最後まで翻弄し続ける本作の魅力を、ネタバレに配慮しながらたっぷりとご紹介します。

本格ミステリファンなら絶対に見逃せない一冊です。

『兇人邸の殺人』について

「兇人邸の殺人」は、デビュー作「屍人荘の殺人」で鮮烈な印象を残した今村昌弘さんによる本格ミステリ小説です。

タイトルの「兇人邸(きょうじんてい)」とは、物語の舞台となる奇怪な館の名前。

この館に集められた人々の間で起こる連続殺人事件を、探偵役が解き明かしていく王道の館ものミステリです。

本作の最大の特徴は、読者の予想を裏切り続ける構成と、精巧に練り上げられたトリックの数々。

クローズドサークルという限られた空間で、誰が犯人なのか、どのように犯行が行われたのか。

読者は探偵とともに謎解きに挑むことになります。

今村昌弘さん独特の、意外性と論理性を両立させた物語展開は、本作でも健在。

ミステリとしての面白さを追求した、読み応え十分の作品となっています。

『兇人邸の殺人』登場人物

葉村譲:主人公 神紅大学ミステリ愛好会 会長

剣崎比留子:事件を「引き寄せる体質」を持つ女子大生

不木玄助:兇人邸の主 班目機関の元研究者

『兇人邸の殺人』あらすじ

廃墟テーマパークにそびえる奇怪な屋敷。
そこに入ったが最後、
姿を見ることは二度とない。

シリーズ累計140万部!!
『屍人荘の殺人』シリーズ第3弾

『魔眼の匣の殺人』から数ヶ月後──。

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子が突然の依頼で連れて行かれた先は、“生ける廃墟”として人気を博す地方テーマパークだった。

園内にそびえる異様な建物「兇人邸」に、比留子たちが追う班目機関の研究成果が隠されているという。

深夜、依頼主たちとともに兇人邸に潜入した二人を、“異形の存在”の無慈悲な殺戮が待ち受けていた。

待望のシリーズ第3弾!

Amazonより引用

奇妙な形をした館「兇人邸」に招かれた人々。

彼らは様々な理由でこの館を訪れますが、やがて館は外界から隔絶されたクローズドサークルと化します。

そして起こる連続殺人事件。

密室、不可能犯罪、消える凶器——ミステリの定番ともいえる謎が次々と提示されます。

限られた空間の中で、疑心暗鬼に陥る人々。

犯人は誰なのか。そもそも、なぜ彼らはこの館に集められたのか。

探偵役が事件の解明に乗り出しますが、真相は予想をはるかに超える衝撃的なものでした。

すべての伏線が回収され、謎が解き明かされたとき、読者は唖然とすることでしょう。

本作は単なる謎解きに留まらず、人間の本質や欲望にも鋭く切り込んでいきます。

『兇人邸の殺人』レビュー・感想


圧倒的な構成力 本作の最大の魅力は、計算し尽くされた物語構成です。

一見独立しているように見える出来事が、実はすべて繋がっている。

その鮮やかな手際に、思わず唸らされました。

予測不能の展開 「ここでこう来るか!」という驚きの連続。

ミステリを読み慣れた方でも、簡単には真相にたどり着けない巧妙なプロットが光ります。

フェアな謎解き 驚きの真相でありながら、必要な手がかりはきちんと提示されているフェアプレイ。

読み返すと「確かにここに伏線があった!」と気づく楽しみがあります。

読後の余韻 ラストページを閉じた後も、しばらく物語の世界に浸ってしまう。

そんな読後感の強い作品です。

本格ミステリの醍醐味を存分に味わえる一冊として、自信を持っておすすめできます。

著者「今村昌弘」さんについて

今村昌弘さんは、2017年に「屍人荘の殺人」で第27回鮎川哲也賞を受賞し、デビューしたミステリ作家です。

デビュー作は本格ミステリ大賞、このミステリーがすごい!などで高く評価され、一躍注目を集めました。

今村さんの作品の特徴は、本格ミステリとしての論理性を保ちながら、意外性のある設定やトリックを大胆に取り入れる点です。

読者の予想を裏切りながらも、フェアプレイの精神を忘れない作風は、多くのミステリファンから支持されています。

「屍人荘の殺人」に続く「魔眼の匣の殺人」、そして本作「兇人邸の殺人」と、作品を重ねるごとに進化を続ける今村昌弘さん。

新世代の本格ミステリ作家として、ジャンルに新しい風を吹き込み続ける存在です。

『兇人邸の殺人』を読んだ最後に

「兇人邸の殺人」は、本格ミステリの王道を行きながら、常に読者の予想を超えてくる驚きに満ちた作品でした。

館もの、クローズドサークル、連続殺人といった古典的な要素を、現代的な感覚で蘇らせた今村昌弘さんの手腕は見事としか言いようがありません。

この作品を読んで、あらためて本格ミステリの面白さを実感しました。

緻密に組み上げられた論理、意外な真相、そして最後に待ち受ける感動。

これらすべてが詰まった本作は、ミステリファンなら必読の一冊です。

まだ読んでいない方は、ぜひ先入観なしでページを開いてみてください。

そして、今村昌弘ワールドの深淵に飛び込んでみてください。

きっと、最後のページを閉じたとき、大きな満足感とともに「やられた!」という感嘆の声が漏れるはずです。

本格ミステリの新たな傑作「兇人邸の殺人」。あなたは真相を見抜けるでしょうか?

兇人邸の殺人

(★4.5)