『リカバリー・カバヒコ』 青山美智子さん著|あらすじ・レビュー

『リカバリー・カバヒコ』 青山美智子さん著|あらすじ・レビュー

リカバリー・カバヒコ

(★4.4)
(Kindle¥1,760 / 楽天¥1,760 / オーディブル聴き放題)


青山美智子さんの小説『リカバリー・カバヒコ』の書評です。

「人生につまずいたとき、そっと寄り添ってくれる物語。カバヒコと出会い、人々は少しずつ前を向く——優しさと希望に満ちた再生の物語が、あなたの心を温かく包み込みます。」

『リカバリー・カバヒコ』について

『リカバリー・カバヒコ』は、2024年に光文社より発表された青山美智子さんの小説

本屋さんが選ぶ「2024年本屋大賞」7位

『リカバリー・カバヒコ』登場人物

奏斗(かなと):第1話「奏斗の頭」の主人公 高校入学後、成績不振に悩む少年。

紗羽(さわ):第2話「紗羽の口」の主人公 幼稚園児の娘を持つ母親で、ママ友との関係に悩む

ちはる:第3話「ちはるの耳」の主人公 ストレスによる体調不良で休職中の女性

『リカバリー・カバヒコ』あらすじ

新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。

近くの公園にある古びたカバの遊具・カバヒコには、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説が。

アドヴァンス・ヒルの住人は、悩みをカバヒコに打ち明ける。
成績不振の高校生、ママ友と馴染めない元アパレル店員、駅伝が嫌な小学生、ストレスから休職中の女性、母との関係がこじれたままの雑誌編集長。

みんなの痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。

Amazonより引用

青山美智子さんの『リカバリー・カバヒコ』は、人生の挫折や喪失を抱えた人々が、ある場所で交差しながら再生していく物語です。

主人公は、過去の失敗から立ち直れずにいる人物や、大切なものを失った悲しみを抱える人たち。

そんな彼らが、カバヒコという不思議な存在と出会い、少しずつ自分自身を取り戻していきます。

作品を通して、「回復(リカバリー)」の大切さや、人と人とのつながりがもたらす温かさが描かれています。

『リカバリー・カバヒコ』レビュー・感想


『リカバリー・カバヒコ』の魅力は、登場人物たちのリアルな心情描写と、それぞれの人生が交錯することで生まれる感動的なストーリーにあります。

青山美智子さんの筆致は優しく、時にユーモアも交えながら、読者にそっと寄り添うような文章が印象的でした。

特に、カバヒコというキャラクターの存在が物語に深みを与えています。

また、登場人物それぞれが抱える問題が現実的でありながら、希望を見出していく過程が丁寧に描かれているため、読み終えた後に温かい気持ちが残ります。

一方で、物語の展開はやや穏やかで、大きな事件や劇的な展開を求める読者には少し物足りなく感じるかもしれません。

しかし、その静かな語り口こそが本作の魅力であり、じんわりと心に染みる読後感をもたらしてくれます。

著者「青山美智子」さんについて

『リカバリー・カバヒコ』の著者、青山美智子(あおやまみちこ)さんは、1970年愛知県出身の小説家です。

2017年『木曜日にはココアを』(宝島社)で小説家デビュー
2021年『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)が「本屋大賞」2位を受賞
2022年『赤と青とエスキース』(PHP研究所)が「本屋大賞」2位を受賞
2023年『月の立つ林で』(ポプラ社)が「本屋大賞」5位を受賞
2024年『リカバリー・カバヒコ』(光文社)が「本屋大賞」7位を受賞

青山美智子さんの作品は、忙しい日常の中でも心が癒される、優しさに満ちた物語です。

『リカバリー・カバヒコ』を読んだ最後に

『リカバリー・カバヒコ』を読み終えると、誰しも人生でつまずくことがある。

でも、それを乗り越えるための方法はきっとある」と優しく教えてくれる作品でした。

大きな困難に直面している人だけでなく、日々の生活の中で少し疲れてしまったときにも、この物語がそっと寄り添ってくれることでしょう。

読んだ後、ふと自分自身の人生を振り返り、大切な人とのつながりや、小さな幸せを見つめ直すきっかけになる一冊。

心を癒やしたいときに、ぜひ手に取ってほしい作品です。

リカバリー・カバヒコ

(★4.4)
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