『六人の嘘つきな大学生』 浅倉秋成さん著|あらすじ・レビュー

『六人の嘘つきな大学生』 浅倉秋成さん著|あらすじ・レビュー

六人の嘘つきな大学生

(★4.5)
(Kindle¥733 / 楽天¥814 / オーディブル聴き放題)


浅倉秋成さんの小説『六人の嘘つきな大学生』の書評です。

憧れのIT企業「スピラリンクス」の最終面接試験は、最終選考に残った六人で「一人の内定者を決める」ことだった!

『六人の嘘つきな大学生』について

『六人の嘘つきな大学生』は、2021年に角川文庫から発行された浅倉秋成さんの推理小説。

「2022年本屋大賞」ノミネート「ブランチBOOK大賞2021」受賞
「このミステリーがすごい! 2022年版」(宝島社)国内編8位 ほか多数受賞

『六人の嘘つきな大学生』登場人物

波多野祥吾(はたの しょうご):前半の主人公 大学で散歩サークルに所属 実家の朝霞市に妹がいる

嶌衣織(しま いおり):後半の主人公 飲食店でバイトしているが、お酒は飲めない

九賀蒼太(くが そうた):リーダーシップ的な存在 下戸

袴田亮(はかまだ りょう):元高校野球部キャプテン 大柄でムードメーカー的存在

森久保公彦(もりくぼ きみひこ):頭脳明晰だが、人付き合いが苦手

矢代つばさ(やしろ つばさ):快活な女子大生

『六人の嘘つきな大学生』あらすじ

ここにいる六人全員、とんでもないクズだった。

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。

最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「〇〇は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。

『教室が、ひとりになるまで』でミステリ界の話題をさらった浅倉秋成が仕掛ける、究極の心理戦。

Amazonより引用

浅倉秋成さんの『六人の嘘つきな大学生』は、就職活動を舞台にした心理サスペンスです。

物語は、とある大手企業の最終選考に残った六人の大学生が、一つのグループディスカッションを行うところから始まります。

彼らはそれぞれ異なるバックグラウンドを持ち、最終選考で唯一の内定を勝ち取るために意見を戦わせます。

しかし、その場に持ち込まれた「ある封筒」によって、彼らの過去の秘密が暴かれ、思いがけない展開へと進んでいきます。

果たして誰が嘘をついているのか、そしてその嘘は何のためにつかれたのか。

互いに疑念を抱きながらも、真実を探り合う六人の心理戦が繰り広げられます。

『六人の嘘つきな大学生』レビュー・感想

Employment examination ―就職試験―

成長著しいIT企業「スピラリンクス」の新卒採用試験 最終選考は自分たちで「六人の中から一人の内定者を決める」こと

And then ―それから―

「ある封筒」を準備した本当の犯人は誰か?驚愕の真相が明らかに


『六人の嘘つきな大学生』の最大の魅力は、緻密に構築されたストーリーと巧妙な伏線です。

序盤からそれぞれのキャラクターが抱える事情や考え方が丁寧に描かれており、読者は登場人物の心情に寄り添いながら物語を追うことができます。

また、タイトルにもある「嘘」というテーマが、物語全体に張り巡らされています。

登場人物の言葉や行動のどこに嘘があるのかを考えながら読むと、より一層楽しめます。終盤に向かうにつれて緊張感が増し、最後には驚きの結末が待っています。伏線回収の巧みさには圧巻されること間違いなしです。

一方で、就職活動という身近なテーマを扱っているため、特に就活経験者にはリアルな共感を呼び起こす要素も多いでしょう。

企業選考のプレッシャー、人間関係の駆け引き、そして「自分がどんな人間か」と向き合う過程など、社会に出る前の若者の葛藤がリアルに描かれています。

著者「浅倉秋成」さんについて

『六人の嘘つきな大学生』の著者、浅倉秋成(あさくらあきなり)さんは1989年生まれ、千葉県出身の小説家です。

2012年 長編小説『ノワール・レヴナント』で「第13回講談社BOX新人賞“Powers”」を受賞しデビュー2020年 『教室が、ひとりになるまで』で第20回本格ミステリ大賞(小説部門)候補
2021年 『六人の嘘つきな大学生』で第12回山田風太郎賞候補、ブランチBOOK大賞2021大賞受賞
2023年 『ファーストが裏切った』で第76回日本推理作家協会賞(短編部門)候補
2023年 『俺ではない炎上』で第36回山本周五郎賞候補

『六人の嘘つきな大学生』を読んだ最後に

『六人の嘘つきな大学生』は、単なるミステリーではなく、「人はなぜ嘘をつくのか」「信じることの難しさ」といった深いテーマを投げかけてくる作品です。

読み終えた後、自分自身の価値観や人間関係について改めて考えさせらました。

「嘘」は悪いものなのか、それとも時には必要なものなのか。本作を読んだ後、あなたの考え方が少し変わるかもしれません。

ぜひ、一気読みして、この心理戦の結末を見届けてください。

六人の嘘つきな大学生

(★4.5)
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