
准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声
(★4.7)
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澤村御影さんの推理小説シリーズ『准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声』の書評です。
主人公の「准教授・高槻彰良」が勤務する清和大学民俗学教室には今日も不可思議な事件や怪異が舞い込む。
目次|Contents
『准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声』について
『准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声』は、2024年11月に角川文庫から発行された澤村御影さんの小説。
『准教授・高槻彰良の推察』シリーズの第11巻。小説と漫画の合計部数は90万部を突破。テレビドラマ化もされた大人気シリーズ。
『准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声』登場人物
高槻彰良:主人公 青和大学文学部史学科民俗学考古学専攻・准教授 美青年 怪異現象が起きるとハイテンションに 鳥が苦手
深町尚哉:青和大学の大学生で高槻のバイト助手 他人の嘘を見抜く能力を持つ
佐々倉健司:高槻の幼馴染 警視庁刑事部捜査一課・刑事
『准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声』あらすじ

ゼミ合宿開催! 隣り合わせの青春と異界を描く民俗学ミステリ第11弾!
高槻ゼミの一大イベント、それはゼミ合宿。
9月の初め、尚哉は仲間たちと西湖に赴く。
先輩方の中間発表、BBQに花火と様々なイベントをこなし、高槻の発案で、尚哉たちは青木ヶ原樹海へ行くことに。
そこには意外なあの人がいて……!?ほか、派手めな女子大生からの「ドッペルゲンガーが現れる」という相談や、高槻の因縁の場所を訪れる決意をした尚哉など盛りだくさん。
隣り合わせの青春と異界を描く民俗学ミステリ第11弾!
Amazonより引用
イケメン准教授・高槻彰良が、怪異現象にまつわる事件を解決するさまを描く民俗学ミステリーシリーズ第11巻。
都市伝説や怪異に目がない民俗学者・高槻彰良准教授。
知的で落ち着いた雰囲気を持ちつつも、どこか掴みどころのない彼のもとにやってきたのは、人の嘘がわかるという特異体質を持つ大学生・深町尚哉。
幼い頃のトラウマが原因で、人付き合いが苦手な尚哉だったが、高槻の助手として働くうちに、彼の不思議な魅力と「世の中には説明できないこともある」という考え方に影響を受けていく。
そんな2人が、怪異にまつわる事件を調査しながら、それぞれの過去や心の傷と向き合っていく――ちょっと不思議で、でも温かい物語。
『准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声』レビュー・感想

第一章 影の病
とある女子大生から「ドッペルゲンガーを見た」と相談を受ける
第二章 入ってはならない場所
ゼミ合宿で、高槻一行は青木ヶ原樹海へ行くことになったのだが
第三章 夜との約束
高槻の因縁の場所を訪れる決意をした尚哉
「准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声」を読んでみて、今作の魅力は、なんといっても「夏の終わり」という季節感が醸し出す切なさと、不思議な余韻。
読んでいると、どこからか蝉の鳴き声が聞こえてきそうで、ふと昔の記憶が呼び起こされるような気さえします。
シリーズを通して一貫している「怪異=人の心の反映」というテーマは、今作でも健在。
特に尚哉の“声がわかる”という能力が、事件の核心にどう触れていくのか——その描写が丁寧で、じわじわと胸に迫ります。
また、今回の怪異が過去の悲しみや後悔と深く結びついていた点も印象的でした。単なるホラーではなく、「人の痛み」をきちんと描こうとする姿勢がこのシリーズの魅力だと、改めて感じさせてくれます。
そして、高槻先生のちょっと飄々とした態度の奥にあるやさしさが、今回も随所で光っていました。
尚哉とのバディ関係も、巻を重ねるごとに自然で心地よいものになっています。
著者「澤村御影」さんについて
『准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声』の著者、澤村御影さんは神奈川県横浜市出身の推理作家です。
2016年に第2回角川文庫キャラクター小説大賞“大賞”を受賞した『憧れの作家は人間じゃありませんでした』でデビュー。
澤村御影さんの作品は、独特の設定と丁寧な心理描写、そして民俗学的要素を巧みに織り交ぜた物語構成により、多くの読者から支持を得ています。
『准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声』を読んだ最後に
夏の終わりに感じる“何かが終わったような寂しさ”と、“次の季節が始まる予感”が同時に胸に残るような、不思議な読後感です。
「怪異」は怖いものかもしれない。でもそれは、誰かの心の声であり、願いなのかもしれない——
そんなふうに思わせてくれる物語でした。
シリーズをずっと追ってきた方も、初めての方も、この一冊から感じられる“静かな怪異”の魅力を、ぜひ味わってほしいと思います。
次巻も、彼らの新たな出会いと謎に期待です。

准教授・高槻彰良の推察11 夏の終わりに呼ぶ声
(★4.7)
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