
准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影
(★4.7)
(Kindle¥634 / 楽天¥748 / オーディブル聴き放題)
高槻彰良さんの推理小説シリーズ『准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影』の書評です。
主人公の「准教授・高槻彰良」が勤務する清和大学民俗学教室には今日も不可思議な事件や怪異が舞い込む。
目次|Contents
『准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影』について
『准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影』は、2021年5月に角川文庫から発行された澤村御影さんの推理小説。
『准教授・高槻彰良の推察』シリーズの第6巻。小説と漫画の合計部数は90万部を突破。テレビドラマ化もされた。
『准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影』登場人物
高槻彰良:主人公 青和大学文学部史学科民俗学考古学専攻・准教授 美青年 怪異現象が起きるとハイテンションに 鳥が苦手
深町尚哉:青和大学の大学生で高槻のバイト助手 他人の嘘を見抜く能力を持つ
佐々倉健司:高槻の幼馴染 警視庁刑事部捜査一課・刑事
『准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影』あらすじ

長野での記憶を失ってから元気がない高槻のもとに、絶縁状態だった従弟の優斗から連絡が。
なんと、婚約者の肩に「人面瘡」が現れたという。
高槻と尚哉が赴くと、婚約者は高槻を見るやいなや「天狗様!」と叫んで駆け寄り……?(――「肌に宿る顔」)高槻が運営する怪談収集サイト「隣のハナシ」に、実家の旅館にある「紫鏡」の調査依頼が寄せられた。
依頼人は19歳の女性。幼い頃、母親がその鏡に吸い込まれて消えたという。
古参の従業員も、鏡については言葉を濁し――。(――「紫の鏡」)異界に魅入られた凸凹コンビの民俗学ミステリ、第6弾!
Amazonより引用
イケメン民俗学者・高槻彰良准教授と、人の嘘がわかる大学生・深町尚哉のコンビが挑むシリーズ第6巻。
今回、彼らが関わるのは、ある鏡をめぐる不可思議な現象。古びた屋敷、謎の少女、そして映るはずのない影──。現実と非現実の狭間で揺れる人々の心を、高槻の柔らかな知性と尚哉のまっすぐなまなざしが解きほぐしていきます。
物語が進む中で、登場人物たちの過去や葛藤が少しずつ明かされ、事件の裏に隠された「人間の弱さ」と「救い」が浮かび上がってきます。鏡が映すのは、ただの影ではなく、人の心に潜む何か──そんな余韻を残す一冊です。
『准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影』レビュー・感想

第一章 お化け屋敷の幽霊
「遊園地のお化け屋敷の鏡に幽霊が映る」という調査依頼が舞い込む
第二章 肌に宿る顔
従弟の優斗から十数年ぶりに連絡があり、婚約者の肩に「人面瘡」が現れたという
第三章 紫の鏡
依頼人は19歳の女性。幼い頃、母親が実家の旅館にある「紫鏡」に吸い込まれて消えたという
「准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影」を読んでみて
本作もまた、「怖いのに、どこかあたたかい」というシリーズの魅力がしっかりと詰まった一冊でした。
ホラーや怪異が題材でありながら、読後に残るのは不思議とやさしい気持ち。それはきっと、高槻先生の飄々とした在り方と、尚哉の繊細さが描かれているからこそでしょう。
特に印象的だったのは、鏡というモチーフの扱い方。鏡はただの道具ではなく、登場人物たちの「本当の自分」や「向き合いたくない記憶」を映し出す存在として描かれています。単なる怪談では終わらない、心の深層にふれる物語に仕上がっていると感じました。
また、シリーズを追っている読者には、登場人物たちの関係性の変化にも注目したいところ。尚哉の成長や、高槻先生との信頼の積み重ねがじんわりと伝わってきて、読みながら何度も胸が熱くなりました。
著者「澤村御影」さんについて
『准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影』の著者、澤村御影さんは神奈川県横浜市出身の推理作家です。
2016年に第2回角川文庫キャラクター小説大賞“大賞”を受賞した『憧れの作家は人間じゃありませんでした』でデビュー。
澤村御影さんの作品は、独特の設定と丁寧な心理描写、そして民俗学的要素を巧みに織り交ぜた物語構成により、多くの読者から支持を得ています。
『准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影』を読んだ最後に
「鏡がうつす影」は、怪異を通して「人の心」を映し出す、静かで奥行きのある物語でした。
シリーズの中でも特に“静かに沁みる”タイプの一冊だと思います。読後にふと自分の心をのぞきたくなるような、そんな余韻が残ります。
日常の中に潜む小さな恐れや違和感を、そっとすくい上げてくれるこのシリーズ。次巻もきっと、また違った形で私たちの心に語りかけてくれるはず。
まだ読んでいない方にも、ぜひこの温かな怪異譚の世界を手に取ってほしいです。

准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影
(★4.7)
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