
夜行観覧車
(★4.1)
(Kindle¥676 / 楽天¥712 / オーディブル聴き放題)
湊かなえさんの小説『夜行観覧車』の書評です。
「理想の街に隠された、壊れゆく家族の真実——。幸せの裏に潜む闇が、あなたの日常を揺るがす。」
『夜行観覧車』について
『夜行観覧車』は、2010年に双葉社より発表された湊かなえさんの小説。
2013年には、テレビドラマ化もされました。
『夜行観覧車』登場人物
遠藤家:高級住宅地「ひばりヶ丘」に住む 夫婦と中学3年の娘の3人暮らし
高橋家:遠藤家のお向かいに住む 夫婦と長女・次男の4人暮らし 長男は遠方の医大に通っている
小島さと子:老婦人 「ひばりヶ丘」の古くからの住人
『夜行観覧車』あらすじ

高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。
遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。
その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。
『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。
Amazonより引用
湊かなえさんの『夜行観覧車』は、高級住宅街にある一軒の家で起こった殺人事件。
被害者は名門校に通う息子を持つエリート夫婦の夫。加害者として疑われたのは、妻。
事件をきっかけに、隣人たちの間に広がる不穏な空気。表向きは穏やかに見える住宅街の住人たちも、それぞれが抱える秘密や葛藤を隠しながら日常を送っていた。
しかし、事件の真相に近づくにつれ、少しずつ隠された本性が明らかになっていく。
果たしてこの事件の真実とは何なのか。そして、平和に見えた町の裏に隠された人々の本当の姿とは——。
『夜行観覧車』レビュー・感想

『夜行観覧車』、湊かなえさんらしい、心理描写の巧みさが際立つ作品でした。
登場人物の視点が次々と変わることで、同じ出来事でも異なる見え方があることが浮き彫りになり、読者は次第に物語の深みに引き込まれていきます。
また、本作では「理想の家族」「格差」「嫉妬」といったテーマが描かれており、登場人物の心の揺れ動きがリアルで、読んでいて胸が締めつけられる場面も多かったです。特に親子関係の在り方が印象的でした。
エリート教育に熱心な母親、期待に応えようとする子ども、そして隣人たちの目を気にするあまり追い詰められていく家族……こうした描写がリアルで、どこか身近に感じられる部分も多かったです。
物語が進むにつれて、登場人物たちの本当の姿が少しずつ浮かび上がる構成が見事でした。特に、事件に関わる家族同士の関係性の変化や、周囲の人々が抱える闇が丁寧に描かれており、単なるミステリーではなく、人間ドラマとしての深みも感じられました。
また、視点が切り替わることで、同じ出来事が異なる角度から見えてくる点も面白かったです。
最初は被害者一家に同情しながら読んでいたのに、物語が進むにつれて感情が揺さぶられる構成になっており、最後まで飽きることなく読み進められました。
著者「湊かなえ」さんについて
『夜行観覧車』の著者、湊かなえ(みなとかなえ)さんは、1973年広島県生まれの小説家です。
2007年に『聖職者』で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー
2009年に『告白』が 本屋大賞を受賞、累計300万部を超えるベストセラー
湊かなえさんの作品は、心理的な深みと社会的な洞察力を兼ね備えたミステリーとして、多くの読者から支持されています。
『夜行観覧車』を読んだ最後に
『夜行観覧車』を読んだ後、ただのミステリー作品ではなく、人間関係の脆さや、表向きの幸せと裏にある苦悩を考えさせられる物語でした。
読んだ後、「本当の幸せとは何か?」「理想の家庭とは?」と考えさせられる、余韻の残る一冊です。
サスペンス好きの方はもちろん、心理描写がしっかりとした作品を好む方にもおすすめしたい一冊です。
読み終えたあと、身近な人との関係を改めて見つめ直したくなるかもしれません。

夜行観覧車
(★4.1)
(Kindle¥676 / 楽天¥712 / オーディブル聴き放題)